目次
概要
第48回は「ハラスメントしていませんか~明るい職場づくりのために」です。
塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。
第48回は「ハラスメントしていませんか~明るい職場づくりのために」です。
ハラスメントの種類が増えて混乱しています。
何でもハラスメントというので、かえって「またか」と軽い感じでうけとめられる気がします。
ハラスメントが騒がれるようになってから、法的な規制もできました。コロナ禍では、リモートハラスメントやワクチンハラスメントのような新しいものまで生まれています。
やはり対策や定義を整理しておきたいですね。
そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?
ハラスメントとは
ハラスメント(harassment)とは「いじめ」「嫌がらせ」などを指します。性別、年齢、職業、宗教、社会的出自、人種、民族、国籍、身体的特徴、セクシュアリティなどの属性、あるいは広く人格に関する言動などによって、相手に不快感や不利益を与え、その尊厳を傷つけることを言います。「ハラスメント」は職場で深刻な問題となり、法的な規制も始まりました。法的な規制のあるものは、法律に対象となる行為が定義されています。
「何でもハラスメント」は定義があいまいかもしれませんが、法的な規制があるものは、法律に触れるものが定義されるわけですね。
ということは、「パワハラ」を例にとると、法的な制限にかかる「パワハラ」と、制限までいかないレベルの「パワハラに近い行為・言動」がありそうですね。
厚労省の取り組み
厚労省では、パワーハラスメントを中心に、明るい職場応援団というサイトをたちあげています。ハラスメント防止対策や資料ダンロードのページもあります。「ハラスメントで悩んでいる方」「管理職の方」「人事担当の方」「その他」「相談窓口のご案内」「 Q&A」などのメニューがあります。
また、法的な規制がはっきりしないハラスメントはかなりの数が生まれています。ケア~、リストラ~、モラル~、ジェンダー~、セカンド~、事後~、アルコール~、ロジカル~、パタニティ~、ハラスメント~、妊活~、パーソナル~、エイジ~、時短~などなどです。
法規制もあるので取り組みに力が入っていますね。
なんでもハラスメントにしてしまう風潮もどうかと思いますが、それだけ被害者意識のある方がいるのも事実なんでしょうね。
三大ハラスメントの1セクハラ
セクハラとは、「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。
セクハラに関しては、男女雇用機会均等法において事業主に対してセクハラ防止措置が義務付けられています(男女雇用機会均等法11条)。
まだまだ、実態として根絶はできていないのが実情のようですね。
諸外国においては、セクハラと性別役割分担意識に基づく言動(「ジェンダー・ハラスメント」)が区別され、別個の法理構成と立法化が図られていることも参考になりますね。
女性の立場からすると改善されているけど物足りないですね。
LGBTなども考えると常に時代にあった「人権教育研修」が必要ですね。
三大ハラスメントの2パワハラ
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
2019年労働施策総合推進法が改正され、職場におけるパワーハラスメント防止対策が事業主に義務付けられました。中小事業主においても2022年4月1日から義務化されました。
パワハラの状況は多様ですが、代表的な以下の6つの類型があります。限定列挙ではありません。
1.身体的な攻撃(暴行・傷害)
2.精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
3.人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
4.過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
5.過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
いわゆる「いじめ」の類型が全部入ってますね。
優越的な地位を使わないと、単なる「いじめ」ですか。
三大ハラスメントの3マタハラ
マタハラとは、「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業、介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業・介護休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることをいいます。
以下の5つは、「厚生労働省の指針」に定められており、男女雇用機会均等法第11条の2により、この5つのすべてを実施することが企業に義務付けられています。
(1)マタハラ禁止の方針の明確化・社内での周知
(2)マタハラについての相談体制の整備
(3)マタハラについての相談が発生したときの適切な対応
(4)マタハラの背景要因を解消するための措置
(5)マタハラを相談した場合のプライバシー保護などのルールの周知
2022年4月に改正施行された「育児・介護休業法」の中で、「雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化」として「研修」や「相談窓口設置」等の措置が位置づけられています。
昔は産休をとる前にやめさせるのが当たり前という時代もあったようです。
男性版のマタハラである「パタハラ」はパタニティハラスメントの略で、マタハラ同様に深刻な問題になっていますね。
ハラスメントの影響
職場のハラスメントは、受ける人だけの問題ではなく、以下のような影響があります。
■被害者
人格や尊厳を傷つけられたり、仕事への意欲や自信をなくしたり、また、心の健康の悪化につながり、休職や退職に追い込まれたり、生きる希望を失うこともあります。
■被害者の周囲
周囲の人たちが知ることで、仕事への意欲が低下し、職場全体の生産性にも悪影響を及ぼす可能性があります。
■加害者
社内での自分の信用を低下させ、懲戒処分や訴訟のリスクを抱えることにもなり、自分の居場所が失われる結果を招きます。
■企業
業績悪化や貴重な人材の損失につながるおそれだけでなく、問題を放置した場合は、裁判で使用者としての責任を問われることもあり、イメージダウンにつながります。
こうして見ると、けっこう広範囲の影響があるんですね。
争ったりしたら長期化するわけで、影響が広がりますね。
ハラスメントの対策
各法規制で対策を講じることが義務づけられていますが、法的規制が明確でないハラスメントもありますから、それらを含めて以下のようなことが考えられます。
■方針の策定と労働者への周知・啓発
企業には、ハラスメントの内容を従業員に周知して、該当する言動があってはならないという方針を明確にしたうえで、管理監督者を含む労働者に啓発することが求められます。就業規則や社内報に列挙することが考えられます。
■行為者への対処方針の策定・啓発
ハラスメント行為者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を設けて、管理監督者を含む労働者に対し、周知したり啓発したりすることが求められます。
■相談窓口の設置
ハラスメントの相談を受ける窓口を、あらかじめ設置することが求められます。
■社内研修の実施
研修等を入社時に行い、その後も定期的に行うことが効果的です。
■社内アンケートの実施
ハラスメントの有無を調べるためには、社内アンケートを実施することが有効だと考えられます。早期発見や予防効果も期待できます。
研修もポスターも会社の雰囲気づくりに欠かせませんね。法的な規制を受ける違法な行為だけでなく、相手がハラスメントと受け止める行為はしないように研修してほしいですね。
社内で窓口を設けると、外部に出る前に対処することが可能になりますね。
中小企業とハラスメント
中小企業でもパワハラ防止が義務化されていますが、ハラスメントは中小企業でも起こりうる可能性が大きいです。おきた場合の、企業の評判への影響や人材流出の影響は、大企業より大きいものがあります。
大事なのは、マニュアルや窓口設置などの準備対策を徹底することです。場合によっては外部の窓口を利用することも一策です。
会社がある場所の労働局または労働基準監督署に総合労働相談コーナーがあります。電話でも相談ができます。解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げなどの労働条件のほか、募集・採用、ハラスメントなど、労働問題に関するあらゆる分野について、労働者、事業主どちらからの相談でも、専門の相談員が面談あるいは電話で受け付けています。
小さいうちに芽を摘むという感覚で予防するのがいいと思います。
ハラスメントは受け止める側と加害者側の感覚が食い違うのが原因だと思いますので、研修やポスターで行為類型を明確にしていくのが、一番いいと思います。
笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。ハラスメントを防止することで、皆さんが気持ちよく働くことができ、明るい職場を作ることができます。レベル差もありますし、個人での受け止め方も違いますので、広く予防するのがいいですね。
ハラスメント防止という切り口ではありますが、お互いを尊重する雰囲気のある会社になるといいですね。
人は一人一人受け止め方が違うということを学習して、お互いに勘違いや誤解、取り越し苦労などがないような雰囲気になるといいですね。
まとめ
ハラスメント(harassment)とは「いじめ」「嫌がらせ」などを指します。セクハラ、パワハラ、マタハラの三大ハラスメントは、法的規制が始まり、防止措置が義務づけられました。防止対策としては「方針の策定・啓発」「行為者への対処方針の策定・啓発」「相談窓口」「社内研修」「社内アンケート」などが考えられます。三大ハラスメント以外のハラスメントも防止して、お互いを尊重する明るい職場になるといいですね。
今日も難しい課題でしたが、「ハラスメント防止体制の構築」「ハラスメント防止研修」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。
これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。
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(了)