目次
概要
第64回は「ペルソナを作ろう~効果的な戦略へ」です。
塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。
第64回は「ペルソナを作ろう~効果的な戦略へ」です。
ペルソナはあまりなじみがないですね。
英語だとpersonが近いような・・。
元来、古典劇において役者がつけた仮面のことを意味しますが、心理学で有名なユングは人間の外的側面をペルソナと呼びました。周囲に適応するために硬い仮面を被るという意味合いです。これが、マーケティングの世界で使われるようになりました。
英語のpersonは人ですが、これと近い意味ですね。
そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?
ペルソナとは~ターゲットとの違い
ペルソナは、マーケティング用語としては、商品やサービスを利用している典型的なユーザー像のことを意味します。近年では、情報が充実していますから、お客様がどういう人かというのをつかまえようとします。コンビニ各社のレジでは、お客様の客層を店員が判断してボタンを押していました。たとえば、セブンイレブンの場合、男女別で12歳以下、19歳以下、29歳以下、49歳以下、50歳以上の計10個ありました。今では、簡素化で廃止しているほうが多いらしいですが。つまり、コンビニではどういうお客様が何時に利用するかという統計データを獲得して、マーケティングに役立てようとしていたわけです。サラリーマンやOLが多いオフィス街の店舗では、昼休みに弁当が売れるなどのデータは貴重ですよね。そういう分析からその店のターゲットとなるお客様が特定できます。
ペルソナはこの客層やターゲット像をもっと進化させて、はっきりとした一人のお客様のモデルとして特定するものです。
なるほどねえ。でも、その客層やターゲット像さえ、分析できていない会社もあるかも・・・
そうですね。いきなりペルソナはちょっとハードルが高いかも。
なぜペルソナを作る必要があるのか
もちろん、客層を考えたり、お客様のターゲットを決めたりする作業も大事です。そのうえで、ペルソナに進化させるのがいいと思います。では、なぜペルソナを考える必要があるのでしょうか?以下の理由が考えられます。
1.市場の成熟
急激に伸びる市場は少なく、過当競争になりやすい。
2.SNSですぐに評価される
客層にもよりますが、即時に評価される時代です。
3.顧客の満足度はモノからサービスへ
一人一人が、サービスの提供を受けて感じる満足度は、その顧客が背景に持つ生活なども含めた全体像を把握しないと、理解できないと思われます。
4. 属性データと行動データの時代
コンビニのレジで集めていたのは個人の属性に関するデータでした。今ではSUICAやGOOGLE位置情報を見るとその人の行動に関するデータがわかります。今までは把握できなかったデータが利用できる時代です。データを活用するかしないかで、競争力に差がでます。そこで、データから典型的なある属性の人の行動パターンを想定して、マーケティングに役立てることが可能となっています。
たしかに競争が激しいと、お客様の満足度で差がでますからね。
第63回の「モノのサービス化」にもつながりますね。
ペルソナを作るメリット
ペルソナを作るメリットは以下のようなものが考えられます。
1.代表的なお客様の満足する場面を想定
設定したペルソナは代表的なお客様です。その人物像には背景となる生活があります。そのペルソナが生活の中でサービスの提供を受ける場面を思い描くことで、提供するサービスに満足する場面を想定することができます。
2.対象やサービスを絞る
お客様やその方も満足する場面を想定すると、その絞った対象に向けて効果的にサービスを充実することが可能になります。
3.社内で共有
ペルソナは生身の人間に近いイメージです。とても具体的に作りますので、社内で共有しやすくなります。生活の背景もあるので、満足するポイントに対する理解もしやすいと思われます。
4.新店舗の開設、新製品の開発に役立つ
新しいことを始めるときに、ポイントを絞ることができます。生活を背景とした利用シーンから細かい工夫をすることもできるかもしれません。
5.お客様の立場で考えやすい
具体的にイメージした人物だからこそ、お客様の立場で考えることが可能になります。
情報がたくさんある時代だから、選ばれる存在になるためには、逆にこちらから狙いを絞ることも重要ですね。
新店舗、新製品のときには、どうしても絞れないで戦略がピンぼけになるおそれが強いですからね。
ペルソナを作る方法
ペルソナを作る方法は以下のようになります。
1.情報の収集
お客様の生活パターンは時代とともに変化します。その時代の情報を収集する必要があります。例えば、SNSが大きい情報源です。また、客層やターゲット像として、ペルソナを絞った段階では、インタビューも効果的です。
2.情報を整理する
ペルソナとして設定する人の典型的なパターンを整理します。
まず、属性を決めます。家族構成もあったほうがいいです。
3.ストーリーを肉付けする
ペルソナの生活や趣味、交友関係などを肉付けします。その中で、サービスの利用シーンが思い浮かぶようにします。
4.簡易法
情報の収集などを正確に行う時間と予算がない場合は、ターゲット像の中の常連客をモデル像にするなどの簡易的な方法も考えられます。
5.話し合い
ペルソナを作る作業は、時間がかかるものです。正解はないかもしれません。この作業を外部に丸投げしないで、社内で話し合うことにも意味があります。社員の思いが困られたペルソナができると思います。
情報収集が難しそうですね。
結局活用するのが目的ですからね。
ペルソナの利用方法
ペルソナの利用方法は以下のようになります。
1.ペルソナの例
属性データ;氏名、性別、年齢、住所、家族構成、職業、収入、お小遣い
行動データ;SNSの利用状況、趣味、ライフスタイル
ストーリー;当社のサービスを利用する動機や状況、関係するエピソード
2.提供するコンセプトとペルソナのコンセプトのすりあわせ
ペルソナに対して、満足度の高いサービスを提供するよう調整します。
3.効果的な戦略をつくり、広告や製品しなぞろえ、価格設定などのすりあわせ
ペルソナにあうように効果的な戦略を調整していきます。
4.社内で共有を徹底
特に接客の場面では、ペルソナに適した接客にします。
5.現実客の把握とペルソナの見直し
アンケートなどの形で、ペルソナの食い違いや顧客の変化を常に把握します。
6.対企業もある
対企業の場合は、組織のペルソナと担当者やキーマンのペルソナが効果的です。新規顧客の開拓などで効果を発揮します。
ペルソナを作って終わりではないんですね。
アンケートをとると、お客様に「意向を反映したいんですよ」というアピールにもなりますよね。
ペルソナの注意点
ペルソナの注意点は以下のようになります。
1.イメージが湧くリアルさ
社内で共有するときに、すぐにイメージが湧くようなリアルさが求められます。
2.自社に都合よくしない
自社に都合のよいペルソナは嘘くさくなりますし、意味がありません。
3.動機などの内面もいれる
提供するサービスを利用したいと判断してくれる動機もあったほうがいいですね。
4.利用シーンに合う項目
ペルソナが利用するための必要な項目を設定する必要があります。
5.常に見直し
顧客の変化を見逃すと大きなリスクになります。ペルソナも実際のお客様に合わせて常に見直すほうが効果的です。
6.先入観はないか
思い込みや先入観で作っていないかは要注意です。ペルソナを設定した理由もはっきりしたほうがいいですね。
7.場合によっては複数
一つのペルソナに絞れないときは、複数のペルソナでかまいません。一つのペルソナに盛り込むとぼやけてしまいます。
以外と多いですね。常につくりなおすとなると、顧客動向の把握は続ける必要がありそうですね。
お客様相手の商売はそこが基本ですね。
中小企業とペルソナ
中小企業では、予算も人材も限られています。だからこそ、対象顧客を絞って戦略を立てる工夫が必要です。ペルソナは、顧客の中で焦点を絞って効果的な戦略を作ることが可能となります。また、検討を重ねて作成しますので、顧客理解のためにとても重要なステップです。新店舗の開設や、新製品の開発などでも効果を発揮します。
顧客に焦点を当てる議論は有効そうですね。
動機をしっかりすると、強みの理解とつながりますね。
笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。ペルソナを作る作業は、お客様に関して話し合う作業になります。お客様の利用動機まで想定することで、サービスを提供するやりがいが生まれます。社内でも共有することで、サービスの工場にもつながります。雰囲気もよくなり、業績にも寄与します。
お客様への理解が深まりますね。
ペルソナというもので、社員の理解度がぐっと深まる気がします。
まとめ
ペルソナは、商品やサービスを利用している典型的なユーザー像です。客層やターゲット像をもっと進化させて、具体的なお客様の人物像を特定するものです。ペルソナを作ると「利用場面や動機を設定・的を絞って戦略を練る・社内で共有」というメリットが考えられます。動機まで想定することで、やりがいも生まれます。実際の顧客とペルソナとの食い違いや顧客の変化を常に把握し、ペルソナを活用しましょう。
今日も難しい課題でしたが、「ペルソナ導入のサポート」「ペルソナを利用した戦略造り」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。
これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。
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(了)