概要
第19回は「見えない壁はありますか?~壁のない風土作り」です。
塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。
第19回は見えない壁はありますか?~壁のない風土作りです。
が~まるちょばのパントマイムは好きですよ!東京オリンピックもよかったですね。
「見えないもの」がありますかというと禅問答みたいですね。
組織の中では、見えない壁があるといわれています。親子の断絶とか、世代間のギャップとかはよく言われます。会社の中では、縦割りの組織の壁と、職位による上下の壁を意識する必要があります。
見えないから気づかない人がいるけど、意識しないといけないということでしょうか?家庭の中では、壁があったほうが、プライバシーを保てるからいいような気もしますが、わかってくれない心の壁のストレスはありますね。
まあ、壁というのは必要悪なのかもしれないですけど。それがひどいと弊害にはなりそうですね。あるマンションでも、理事会の発言で、「賃貸の人が悪い」みたいなことをいう人がいたので、そういう決めつけはよくないと言ったことがあります。
見えない壁の定義は、「組織の中にある見えない障害物。阻害要因。」です。ジャック・ウェルチは「壁のない組織」を提唱しています。
よくあげられるのが、縦割り組織の壁ですね。官公庁の縦割りの弊害が有名ですが、企業の中でも、組織を作ってしまうと、弊害として「それは自分の組織の仕事ではない」ということが出てきます。上下の壁は、「上司は現場のことを知らないで指示を出す」というような気持ちが部下のほうに生まれることがあります。なにか都合の悪いことがおきると、その壁のせいにしてしまうこともあります。
縦と上下の壁はかなりありがちですね。リモートになるともっとひどいかも。
そこのところもう少し詳しく教えていただけますか?
みえない壁の種類と原因
一応、会社の中のできる壁は「縦割りの壁」「上下の壁」「風土の壁」「心の壁」があり、以下のように分類することができます。
◆「縦割りの壁」
発生場所は、事業部、事業所、各部、各現場単位など各会社によって異なります。
「A部は何もわかってない」とB部が批判する、などの現象です。
特徴は、セクショナリズムと部分最適です。
原因は、組織化したために、専門化・効率化が進み、独立した判断を行うことで自部門優先の傾向が生まれることがあげられます。
◆「上下の壁」
発生場所は、上司と部下、現場と幹部、正社員と契約社員とパート社員
特徴は、情報の遮断、意識のズレ、年齢の違いです。
原因としては、上から理念、規則に基づく指導が行われた場合に、下には規則どおりにいかない現場の事情があること。あるいは、役員などその立場からの発言に対して、前提・背景・動機が理解できないことによる違和感、抑圧が生じること。単純な上下の序列に基づく圧力を感じることがあげられます。
◆「風土の壁」
発生する態様は、書類主義、規則主義、過去の成功体験、保守・安定志向などです。
特徴は、融通が利かない、チャレンジしないなど会社によって異なります。
原因としては、組織の安定化、維持のため不文律が生じて、変化・チャレンジは害となること。あるいは、過去の失敗を防ぐためルール化により、ルールが増え複雑化、縛られることがあげられます。
◆「心の壁」
発生する態様は、自己保身、面子、恥、肩書き、学歴、思い込み、認識のずれです。
特徴は、閉鎖的・保守的・などの例があります。
原因としては、地位があがると保身を図る傾向が生まれ、面子、肩書き、恥などの余計な枷が生まれること、あるいは、学歴、性別、出身などによる思い込みによる壁が生まれやすいこと。また、警戒感、防衛本能、あきらめ感、ひきこもり感があげられます。
コロナの時代なので、「リモートの壁」もありそうですね。
ちなみに、上杉鷹山は、藩政改革の壁は①制度の壁②物理的な壁③意識(心)の壁。といっています。
縦と上下だけじゃあないんですね。学歴や家柄などは、夫婦でもありそうですね。「考え方の違い」とか「金銭感覚の違い」なんというのは、深刻になるかも。
壁は意識しないで作ってしまうから、いろいろとあるんですね。「ヒトの防衛本能」や「ムラ社会意識」が原因なのかなあ。
みえない壁を取り払う対策
会社の中にある壁をしっかり認識することから対策は始まります。その会社で生じた壁をよく分析して、対策をとるのが基本です。
一般論としては、ハード的な対策とソフト的な対策に分けることができます。
◆ハード対策
1.組織をフラット、シンプルにして壁をつくりにくくする。
2.調整機能を持つ組織あるいは職位を作る。
3.調整の場を作る。組織横断の会議体を作って調整を推進する。
4.調整のための「対話会」「小集団活動」などを取り入れる。
◆ソフト対策
1.社員の関係性向上を目的として、飲み会、旅行、スポーツイベントなどを企画する。
2.一体化のための理念を作り、浸透させる。例えば「協力しあう風土」づくり
3.一体化の教育・研修
「調整機能」という発想ですね。夫婦では「子はかすがい」といいますけどね。子供が大きくなったら、共通の趣味をつくるといいですね。
昔は、「雑談」を仕事にしている人がいましたよね。そういう人を評価しないのが今の風潮かもしれませんね。見直さないといけませんね。
文化人類学者の小田亮さんは、互いに助け合うのが人間本来の姿で、「職業や社会的地位、さまざまな社会制度といったものが邪魔をして、それ(互いに助け合う行動)を十分に発揮できていないのだ、とも考えられる。」といっています。「壁がなくすこと」が大切だとをしっかり認識すれば、助けあることもできると思います。
一人でも多く助け合う気持ちが出てくると、円滑にものごとが進みそうですね。
お互いに貸し借りする「隣組」の文化もいいかもしれませんね。
リーダーの役割
いろいろと対策をのべて来ましたが、リーダーの役割が重要だと思っています。会社であれば、社長、部では部長、課では課長、チームではチームリーダーですね。リーダーが見えない壁を変えると思ってください。
何事もトップの決意次第でしょうか?
組織エゴにならないためには、トップの高い意識が必要ですね。
リーダーの役割を次のようのまとめてみました。
1.現場をよく観察して問題の壁を見つける
2.壁の原因を把握する
3.助け合いを推進するキーマンを見つける
4.いない場合は、推進役キーマンを作る
5.推進役キーマンに権限を与え、仕組みにする
6.改善推進の状況をフィードバックして評価する
7.壁のない風土、文化になるまで続ける
風土・文化になるまで続けるのがいいですね。
評価してあげると、やる気もでますしね。ハシゴを外さないようにしないといけないですね。
ワークショップ
教育・研修として壁をなくすためのワークショップも効果的です。例えば、開発部と製造部の壁があるとします。開発部のメンバーには、「開発部の果たすべき役割」や、「製造部に果たしてほしい役割」を話し合わせます。同時に製造部のメンバーには、「製造部の果たすべき役割」や、「開発部に果たしてほしい役割」を話し合わせます。これを持ち寄って、一致しているところや、違っているところについて、話あいをしてもらいます。
また、社長が孤立していると感じたら、「リーダーズインテグレーション」というのが効果的です。
たしかに、日頃思っていることを書き出させると、本音が出そうですね。
お互いに「やるべきこと」や「やってほしいこと」はわかっているのに、相手に伝える場がないのかもしれないですね。
まとめ
会社の中には「縦割りの壁」「上下の壁」「風土の壁」「心の壁」があり弊害となっています。会社で生じた壁を分析して、ハード的な対策とソフト的な対策をとります。助け合いの推進役を作り、権限を与え、仕組みにします。壁のない風土、文化になるまで続けます。組織の「やるべきこと」や「やってほしいこと」を話しあうワークショップも効果的です。
今日も難しい課題でしたが、「壁のない風土作り」「助け合い推進役の実施・定着」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。
これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。
まずはお問い合わせください
今回は、「第19回は見えない壁はありますか?~壁のない風土作り」について、ご理解いただけたと思います。
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(了)