行政書士霜田眞法務事務所 笑顔経営塾 第73回:共感を大切にする経営をしよう~価値を創造する会社になるために

第73回:共感を大切にする経営をしよう~価値を創造する会社になるために



目次

概要

第73回は「共感を大切にする経営をしよう~価値を創造する会社になるために」です。

塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。

第73回は「共感を大切にする経営をしよう~価値を創造する会社になるために」です。

「同情するなら金をくれ」という言葉がはやりましたが、同情ではなく共感なんですね。

価値を創造すると言われるとピンとこないですね。

共感という言葉からは、「感情」が思い浮かぶので、経営や「創造」にはあまり関係ないようにも見えますよね。

相手の気持ちになると価値が生まれるみたいな発想でしょうか。

そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?

「共感を大切にする経営」とは

共感とは、他人が喜ぶのをみると、ともに喜び、他人が悲しむのをみると、ともに悲しむというように、他人と同じ感情を持つことです。他人の気持ちや感じ方に自分を同調させる資質や力を意味することもあります。「共感」は、「他者の感情の理解を含めて、他者の感情を共有すること」ともいわれ、理解と感情の二つの要素があるともいわれます。
共感を大切にする経営は、お客様との共感や社内での共感を大切にする経営です。

感情の面でいうと「同情する」という言葉がありますが、それとは違うんですね。

経営には人間が携わるから、あらゆるところで感情が生まれますよね。そこで共感することを大切にするわけですか?

共感を大切にする経営が必要な理由                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

共感を大切にする経営が必要な理由は以下のようになります。
1.人間は感情で動く
 理屈が正しいのはわかっていても従いたくないこともありますよね。人間はどうしても感情で動いてしまうものです。その感情面を重視しないといけないということです。
2.相手があっての自分、お客様あっての企業
 相手があっての自分です。企業でいえば、お客様があって初めて商売がなりたちます。その基本を大切にすれば、おのずとお客様との共感を大切にすることになります。戦略を実行するためには、社員が共感してくれなければ、いい結果は生まれません。
3.共感は倫理であり道徳である
 共感をベースにすることで、相手のためにならない施策はとれなくなります。共感を大切にすることは、倫理や道徳にもなります。
4.価値を創造する
 共感を徹底的に追求することで、今までにない発想が生まれます。自社技術から発想するのではなく、お客様が喜ぶものを生みたいという気持ちが、新しい価値を創造する可能性をもたらします。本質的な価値は、お客様さえ気づかないこともあります。
5.心理的安全性
 社員の共感を大切にすることで、社員に心理的安全性が生まれます。
6.製品ではなく共感を選ぶ
 マーケティングの中では、製品の持つストーリーにお客様が共感するという手法があり、「製品の開発ストーリー」や「起業の思い」などが重視される傾向があります。

たしかに、人は感情で動くというのはよくわかります。

お客様あっての企業という基本に立ち返るんですね。共感はお客様との相互の利益にもつながりそうですね。

共感を大切にしないとブラック企業になる

急成長した中古車販売会社の不祥事が話題ですが、なぜブラック企業が生まれたのでしょうか?
1.売上優先でお客様に喜んでもらうという「共感」の姿勢がない
 お客様に喜んでもらうという基本を忘れると、欠点のある製品でも平気で売る会社になってしまいます。社員からみても、売上至上主義はお客様の利益に反することが多いので社員の共感さえ得られません。
2.社員との共感を大切にしない
 社員にノルマを課したり、厳しいしつけをしたり、共感を大切にしないと、優秀な社員は定着しません。導く方向性が間違っているので、社員がただしく成長することもありません。

倫理観・道徳観のない会社ですね。

共感がないとブラック企業になりそうですね。

アダム・スミスの見えざる手

アダム・スミスは「道徳感情論」で次のようにいっています。
「人間が社会的に是認された行為規範を遵守する努力によって、徳のある社会が実現する。」その基礎には、「共感」があるというわけです。
そして、有名な「神の見えざる手」は決して「神」ではなく、この「共感」ではないかともいわれています。「アダム・スミス 共感の経済学作者:」ジェシー・ノーマン著
いずれにしろ、スミスは単純な市場原理主義者ではないというのです。見えざる手が「共感」かもしれません。

神の見えざる手が「神」ではなく「人間の心理」だとしたら面白いですね。

たしかに、「神」は「人間の心理」が作ったものですからね。

倫理×資本主義

「NHK欲望の時代の哲学2023 マルクス・ガブリエル ニッポンへの問い」で、ガブリエルは、倫理資本主義を唱えています。自由市場主義ではなく、相手との相互利益をめざすための共感=倫理が「見えざる手」となる倫理本主義です。ビジネスにおける「剰余価値の生産」は、相互利益の生産であり、そのときに「利益の共有」という価値判断があるといいます。価値判断とは倫理観のようなものですね。企業の中には、倫理部門が必要だともいっています。日本人独特の「読心術」にも期待していました。

共感が倫理というのは、少しわかりにくいけど、そうかなあとも思います。

いいたいことはわかる気もします。

野中郁次郎先生の共感経営

野中郁次郎先生は、著書「共感経営 「物語り戦略」で輝く現場」で共感経営を提唱しています。「企業と顧客、トップと部下、社員と社員との「出会い」の場があって、つながりが生まれ、そこでわき上がる「共感」が新しい価値を生む原動力となっていること」を指摘しています。面白いのは、「共感」→「本質直感」→「跳ぶ仮説」からイノベーションが生まれるといっていることです。ちょっとわかりにくいですが、共感する中で、そのもとになっている本質がわかると、今までにない飛躍した仮説が生まれ、そこからイノベーションになるということだと思います。本質追究が鍵だと思います。

難しいから物語にして話せということかなあ。

共感は、アダム・スミスとマルクス・ガブリエルと野中先生に共通するお考えだったんですね。

共感を経営に活かすためには

共感するためには以下の手順が考えられます。
1.共感力を高め相手の立場になって想像する
2.相手の利益になること、喜ぶことを想像する
3.その原因となることを想像する
4.自分の利益、喜びとして受け止める

共感を経営に活かすためには以下の手順が考えられます。
1.お客様と共感できる商品、サービスを提供する
2.共感する本質的な原因を突き止める
3.より共感できる商品、サービスを開発する
4.お客様が共感できるストーリー、理念、コンセプトを提供する
5.社内の戦略実施において、共感できる進め方をする

共感するだけでは、何も始まらないでしょうが、まずは共感しないといけないですね。

それを経営の柱にするわけですね。

共感マーケティング

共感マーケティングとは、ユーザーが共感できるような取り組みを行い、売上やブランド力の向上を狙うマーケティング手法のことです。SDGsの取り組みも該当します。SNSが普及し「どの商品を買うか」よりも「誰(どこ)の商品を買うか」が重要視されています。ブランドを形成するストーリーなどから生まれる共感が購買のきっかけになることが増えています。企業ブランドとしての共感が得られると、認知拡大の効果もあります。「シェアしたい!」という感情を呼び、SNSで拡散されるからです。

パーパス経営みたいですね。

SNSの時代ですね。

中小企業と共感を大切にする経営

中小企業では、経営資本、経営資源も少ないのが実情です。その中で工夫していく必要があります。共感を大切にする経営は、経営の基本あるいは原点ともいうべきものです。起業したときの思いを、企業の成長ともに忘れないようにしたいものです。そのためにも、共感を大切にする経営は効果的です。

中小企業こそ、お客様との共感を大切にする経営をめざしてほしいですね。

共感が得られないと成長も難しいでしょうね。

笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。お客様だけでなく社内でも共感を大切にすることで、社内の雰囲気はよくなります。共感を大切にする経営は、会社の業績向上にも効果的です。

日本では「ふれあい」が流行して、どこの地方にいっても「ふれあい」広場があったりしますよね。これも共感と同じことを目指してるのかもしれませんね。

たしかにね。人と人の関係性という基本を大切にすることですね。

まとめ

共感を大切にする経営は、お客様との共感や社内での共感を大切にする経営です。その理由は、「共感は価値を創造し、心理的安全性で社内の結束を強め、お客様が製品よりも共感で選ぶようになる」ことです。共感は、アダム・スミスの「見えざる手」、マルクス・ガブリエルの「倫理資本主義」、野中郁次郎先生の「共感経営」に共通する考え方です。共感は企業倫理でもあり、共感を大切にすることはお客様を大切にすることです。共感を大切にする経営は、経営の基本あるいは原点ともいうべきものです。共感を大切にする経営で、価値を創造しましょう。

今日も難しい課題でしたが、「共感マーケティングの導入」「共感を大切にする経営の導入」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。

これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。

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(了)