行政書士霜田眞法務事務所 笑顔経営塾 第21回:コーチングしていますか?~質問が組織を変える

第21回:コーチングしていますか?~質問が組織を変える



概要

第21回は「コーチングしていますか?~質問が組織を変える」です。

塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。

第21回は「コーチングしていますか?~質問が組織を変える」です。

どちらかというとスポーツの世界で、「コーチ」が重要だというのはわかってるつもりなんですが、それは各スポーツで違うような気がするのですが。

スポーツの世界で行われている「コーチ」に共通の技術があるんでしょうか?

そうですね。スポーツの世界から始まった「コーチング」という手法が、経営の中でも使われるようになっています。コーチングは「対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術、そのプロセス」と定義されています。つまり、実技を自分でやって見せる「コーチ」ではなく、会話しながら、目標を実現するものになります。ビジネスコーチング以外でも、ライフコーチング、キャリアコーチングなどがあります。

スポーツと違って、実技よりは会話で目標を実現するというやりかただから、経営にも応用できるわけですね。

野球でも名選手が名監督にならない例が多いですよね。逆に選手時代にパットしない選手が、名監督になる例が多いですね。人心掌握術やチーム管理のテクニックではないんですか?

「コーチング」は「ティーチング」との違いで説明されます。「ティーチング」は教えるので、教える側から教えられる側に、テクニックや専門的なアドバイスを伝えることになります。「コーチング」では、コーチングする側から質問をすることで、目標実現のためにやるべきことを自分で考えて実行してもらうというパターンです。「教え魔」と呼ばれる野球のコーチがいますが、その逆のアプローチになります。ビジネスでもスポーツでも、相手やシチュエーションによって「コーチング」と「ティーチング」を使い分ける必要があります。

スポーツでも若い人とベテランでは対応のしかたが違うでしょうね。経営の場面でも教えられると反発する気持ちが出ることありますから、教えないというのも面白いやり方ですね。

そこのところもう少し詳しく教えていただけますか?

コーチングの種類と目的

教えられると反発するという気持ちは誰にでもおこりうることです。コーチングでは、質問をして質問に答える過程で、自分でやるべきことに気づいてもらいます。コーチの中にあるものを伝えるというよりは、コーチの対象となる方(クライアント)の潜在能力を引き出すことが重点になります。
コーチングを経営で展開する場合には、以下のようなパターンがあります。
◆1対1の典型的なコーチング
コーチとクライアントで、クライアントの目標を決めます。目標を実現するためにとるべき行動について、コーチが質問をするなどのコーチングをして目標を実現します。企業では、上司と部下が部下の目標達成をする場合に行うことが、考えられますが、コーチは必ずしも上司には限りません。
◆コーチに対するコーチング
コーチングを組織の中に浸透させるためには、コーチのスキルをもったコーチを養成していく必要があります。そのためには、コーチをコーチングすることが効果的です。スーパーバイザーなどと呼ばれます。
◆グループコーチング
グループで、グループのメンバーをお互いにコーチングします。課長が複数人集まって、お互いに課長としての指導力をあげるときには効果的です。
◆セルフコーチング
少し、進展した形ですが、コーチ役を自分で行います。コーチングの手法を使って、自分に質問をすることで、自分の行動を修正していくことができます。
◆インフォーマルコーチング
フォーマルコーチングでは、目標を決め、定期的に話し合いの場を決めて、段階的に目標を実現するためにコーチングを行いますが、インフォーマルな形では、場所や時間を選ばずに、日常会話の中にコーチングを行うことも可能です。

目標に向かってサポートしてくれる存在がいたら嬉しいし、心強いですね。インフォーマルも活用したいですね。

コーチもコーチングしてもらえたら、やりやすいですね。

コーチングの基本プロセス

コーチングには基本的なプロセスがあります。
1.信頼関係の構築と会話開始
日頃から信頼関係を作っておき、その雰囲気で会話を開始します。
2.現状確認と課題確認
現状について質問します。課題や問題があるかも質問します。
3.あるべき状態と解決法の検討
問題を解決したあとのあるべき状態を質問して、目標を定めます。どんな解決法があるかも質問します。
4.解決プランの決定と意思確認
解決プランは5W1Hの質問で決定します。取り組みたいという意思も確認します。
5.励ましとフォロー
行動を起すように励まします。次回を約束して終わります。

最初は信頼関係の構築ですね。そこから、最後は励ますんですね。

きちんとしたプロセスの中にコーチの役割がはっきりとしているんでしょうね。

コーチングの原則とスキル

コーチとして覚えておきたい原則は3つあります。
◆答えは相手の中にある
クライアントが答えを持っているというの原則です。コーチから、クライアントに何かを与えるというスタンスではありません。
◆問題を解決する能力は相手にある
コーチはクライアントには解決する能力があると信じて、さまざまな質問をしていきます。人間はどんなに困難で苦痛な心理状態や生活環境にあっても、自分の内部に自分を回復させ成長させる傾向を持っているという、カールロジャースの考えに基づいています。
◆答えや能力を引き出すのがコーチング
誰でもパーフェクトな存在であり、その潜在能力を引き出すために、クライアントを承認して励まします。

可能性を信じるのが原則ですね。

部下の無能ぶりを愚痴っている上司の方に是非知ってもらいたい原則ですね。

コーチングのスキルにはいくつか重要なものがあります。
◆効果的な質問をするスキル
・オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分け
 クローズドは、相手がYESかNOで答える質問なので、答えやすいのですが、続きにくい欠点があります。オープンは、相手がYESかNOでは答えられない質問なので、答えにくいのですが、次の質問に続きやすい長所があります。
オープンクエスチョンの例:なぜ、うまくいかないんでしょうか?
クローズドクエスチョンの例:今までうまくいったことはありますか?
・IF質問、未来質問などで視点を変える
IF質問の例:もしあなたが~だったらどうしますか?
未来質問の例:10年後あなたはどうしますか?
◆信頼関係をつくるスキル
・傾聴のスキル
・ミラーリング
・ペーシング
◆その他
その他にも、認知のスキル、反映のスキル、確認のスキル、意見と要求のスキルなどがあります。

質問にもいろんなパターンがあるんですね。うまい質問をすると、相手が気づくわけですね。

なかなか、奥が深そうですね。ミラーリングもペーシングもラポールにはいいといいますよね。

コーチングが組織を変える

コーチングは、組織の中に浸透させると効果的です。全社的に取り組んでいる企業もあります。以下の方法が考えられます。
①社内コーチを設置し、業務遂行そのものをコーチングし、組織を変革する方法
社内コーチを設ける場合、社内コーチ育成の観点から、コーチをコーチするスーパーバイザーの制度を設けます。チーム自体をコーチングするチームコーチングも社内では効果的です。個人へのコーチングと異なりチームとしての一体感の醸成なども行います。
②スキルを普及させ、あらゆる場面でのスキル活用によって組織を変革する方法
業務の流れに沿って、その場で、コーチング会話を行います。伊藤守氏は3分間コーチなども提唱されています。堀公俊氏はMBQ(MANAGEMENT BY QUESTION)を提唱しています。

全社的に取り組むというのも面白いですね。会社の中の会話が有意義になりそうですね。

コーチングを組織変革のツールとして考えたら、ある意味最強かもしれませんね。

組織風土としてのコーチング

笑顔経営塾では、学習する組織を理想の姿と考え、対話を重視しています。コーチングは対話の重要なスキルであり、互いに学び会います。コーチングのスキルが組織風土となる事で、組織の中に、「やる気」「気づき」が生まれ、「励まし」が行われます。単に質問をする習慣ということではなく、質問の中から一人ひとりの力を引き出す効果が期待できるのと、継続的に学ぶ組織となることが期待できます。

安心感のある職場になると、業績も向上しそうですね。

学ぶことも組織として重要ですから、コーチングで実現できるといいですね。

まとめ

組織変革は困難が伴いますが、コーチングは組織を変革するために重要で効果的な手法の一つです。コーチングは、問題解決の答えも能力も相手にあると考え、それを質問などで引き出します。効果的な質問をするスキル、信頼関係をつくるスキルなどを使用します。コーチングは、組織浸透が効果的です。全社の取組みには、①社内コーチを設置する方法と②コーチングスキル活用で組織を変革する方法があります。笑顔経営塾では、学習する組織を理想の姿と考え、対話を重視しています。コーチングの導入で、一人ひとりの力を引き出し、学びあう組織となることが期待できます。

今日も難しい課題でしたが、「コーチングスキルの導入」「全社的なコーチングの仕組み作り」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。

これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。

まずはお問い合わせください

今回は、第21回は「コーチングしていますか?~質問が組織を変える」について、ご理解いただけたと思います。

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(了)