行政書士霜田眞法務事務所 笑顔経営塾 第36回:いい行動していますか~行動科学から

第36回:いい行動していますか~行動科学から



目次

概要

第36回は「いい行動していますか~行動科学から」です。

塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。

第36回は「いい行動していますか~行動科学から」です。

いい行動だと品行方正かなあと思いましたが、行動科学となると??ダイエット?

単に「ガンバレ!」「働け!」じゃあなさそうですね。

会社の業績や、部下の働きぶりなどで思うようにいかないと感じている経営者の方は多いと思います。そこで目標管理制度を導入したりするのですが、それもなかなか成果に結びつきません。そこで、社員の行動に着目するのがヒントになります。

目標管理や個人の成果主義というのは、ある程度理解できるのですが、なかなか会社の成果に結びつかないですよね。その問題を解決するヒントになるわけですね。

そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?

いい行動を行動科学から考える

会社経営では、社員の行動が大きな影響力を持ちます。会社は社員の行動の集積ともいえます。では、それをいかに効率良く効果的な行動にするかを考える必要があります。業務分析などをして、ムダを廃除するのも一定の効果があがります。しかし、それでは、「攻め」を忘れて「守り」一辺倒です。「攻め」のためには、「いい行動」をしっかりと認識して、社員に繰り返してもらう必要があります。目標管理などで、戦略に基づいた社員の個別アクションプランを設定して、社員の行動を促進しようとしても、あまりうまくいきません。そこで、ヒントになるのが行動科学です。

たしかに、「目標管理」は「締め付け」の印象しかありませんね。

行動科学というのは、あまり聴きませんね。

行動科学は、人間の行動を実証的に研究し、データ化して一般的な法則を確立し、行動の統御、予測に役立てようとする学問で、社会学、人類学、心理学、精神医学などが含まれます。会社経営では、目標設定や部下のマネジメントに、「行動科学マネジメント」という形で応用されています。一般の経営学との違いは、「科学」としている点です。アメリカで始まって大きな成果を上げていますが、日本でもかなりの企業が導入していますよ。

本来人間の行動というのは、他人が管理したり予測したりできないから皆さん悩んでるわけで、その行動が科学で解明されるというのは、面白い主張ですね。

導入してる企業が多いということは、とても可能性が高いと思います。

ABCモデル

人が行動を起こす要素は3つあり、ABCモデルといわれています。
1.AはAntecedent(先行条件)です。
先行条件とは、行動のきっかけになる目標や環境です。
2.BはBehavior(行動)です。
先行条件によって人がとる行動や発言です。
3.CはConsequence(行動の結果)です。
行動を起こしたことによってもたらされた変化です。この変化がすく起こる場合とあとで起こる場合があり、重要な鍵になります。
これらのA,B,Cが繰り返されると考えるのがポイントです。
人はA(先行条件)のために、Bを起こします。Bの結果であるCが良い結果であれば、またBを起こし、Cが悪ければBを起こさなくなります。
行動科学マネジメントは、このモデル分析をもとにして、「いい行動」を増やすにはどうすればいいかを考えるわけです。
例えば「ダイエット」があります。甘い物を食べると、その結果として「満足感や幸福感」という好ましい結果が、今すぐ得られます。将来的に「体重が増える」「病気になるかも」という好ましくない結果があっても予測される先の結果です。このような仕組みから「甘い物を食べる」という行動は繰り返されやすくなります。

たしかに行動の前に何か別の行動なり環境があるということ、そしてそれが何かを考えると、行動の予測にはなりそうですね。ダイエットを失敗するのは、よくわかります。

ダイエット、禁煙、ギャンブルなどで、よく言われているお話は、ほとんどが「行動科学」をもとにしているんですね。

行動の強化策(リインフォース)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

そこで、「いい行動」を増やしたり、「悪い行動」を減らしたりするのが、「リインフォース」といわれる行動の強化策です。
リインフォースとなりうる要素は下記のとおりです。
1.食べ物:甘いお菓子など
2.操作する物:ゲームなど
3.視聴覚:映画など
4.コミュニケーション:褒める、叱る、ハグする
5.トークン:金券、チケット類
6.その他:上司とお食事など
以上にあげたものが、行動の結果と結び付くと、行動を増やしたり減らしたるする効果が現れます。

なんでもなりうるという感じですね。

いわゆる「逆効果」というのがありますね。褒めたら却ってやる気をなくしたとか・・・

タイミング、継続、バランス

リインフォースの要素は多岐にわたります。しかも、人によってその要素がどのように作用するかが変わることもあります。注意深く行わないと、逆効果もあります。そこで大事なのが、以下のとおりです。
簡単に説明するために積極因子を「褒める」消極因子を「叱る」とします。
1.タイミング
 行動の結果に対してすぐにタイミングよく褒めないと効果がありません。
 時間が経ってから褒められても、「何のこと?」という感じです。
 60秒間ルールというのがあって、60秒を過ぎると効果が薄れるとも言われます。
2.継続
 褒めるのをやめたら、行動も止まってしまいます。継続が必要です。
3.バランス
 褒めるのと叱るのを4対1のバランスにするといいと言われます。

叱る割合が多い人もいますね。

60秒は難しいけど、なるべくこの原則をしっかりやれるといいですね。

リインフォースを見つける

実際のところ、科学とはいえ相手は人間です。千差万別です。そこで、上司は部下のリインフォース要素を見つけるのが大事です。いわゆる「ツボ」ですね。その場合も出来るだけ「自発的なやる気」につなげるのが賢明です。例えば、ゲーム感覚で競い合って成果を上げるという例もあります。相手をあからさまにコントロールするのは逆効果です。褒める場合であれば結果より過程を褒めるべきです。あるいは、姿勢や努力を褒めるのが効果的ですね。別の見方をすれば、リインフォースを自分で選べるようにして提示するほうが早いかもしれません。

内発的動機付けですね。一人一人のリインフォースを見つけるのが難しそうですね。

結局は上司のウデ次第ですか。とはいえ、違いを前提にするというのも、ワンパターンの上司には難しそうですね。

行動が成果に結びつく組織になるために                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        

行動がうまく成果に結びつく組織は、行動のリインフォースがうまくいっている組織です。企業で行われている一人一人の行動を分析したうえで、「いい行動」を増やし、「悪い行動」を減らす取り組みを会社全体で行うのが得策です。そこで、上司の役割が重要です。個人差のある行動のパターンから、その人のリインフォースの要素を見つけることができれば、あとはタイミングと継続とバランスを大事に実行します。また、オープンにして、お互いの行動を公開しあうことも効果的です。その行動全体が、大きな戦略目標に沿った行動であれば、企業業績にも反映されてきます。

行動分析がきちんとできていないと効果があがらない感じをうけますね。

たしかに単に「褒める」会社にするだけでは、行動科学としては雑すぎますね。

笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。行動分析をもとにした「いい行動」をリインフォースすることは、笑顔につながります。行動科学の原則を守りながら、「いい行動」を増やすことで組織全体の行動が改善することが期待されます。

科学的な裏付けのある「笑顔拡散」ですね。

個人個人の気持ちも大切にしながらですね。

まとめ

会社は社員の行動の集積ともいえます。行動を分析したうえで「いい行動」を社員に繰り返してもらう必要があります。行動を起こす要素は3つあります。Antecedent(先行条件)Behavior(行動)Consequence(行動の結果)です。これらのA,B,Cが繰り返されるポイントになるのがリインフォース(強化要素)です。リインフォースで大事なのが、タイミング、継続、バランスの3原則です。その人のリインフォースの要素を見つけ、3原則で実行します。会社全体で、戦略目標に沿った行動科学の裏付けのあるリインフォースを行えば、企業業績にも効果が現れます。

今日も難しい課題でしたが、「行動分析をもとにしたアクションプランの作成」「リインフォースと行動の定着」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。

これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。

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(了)