目次
概要
第58回は「米百俵から学ぼう~将来のための人づくり」です。
塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。
第58回は「米百俵から学ぼう~将来のための人づくり」です。
あまり聞いたことがないです。
米を食べない話だったような。。。
6月15日は米百俵(こめひゃっぴょう)の日です。新潟の長岡藩の故事で、幕末の偉い人の判断で、食べるのにも困っていたときに、いただいた米を食べるかわりに学校(国漢学校)を作ったのが明治3年6月15日でした。長岡市のホームページで詳しく紹介されています。ちなみに私の祖母は学校の先生でしたが、たしか長岡出身だったような。。
困っていてもらったお米はたべるほうがいいと思いますが、そこのあたりが、歴史に残る人は違うんですね。
そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?
米百俵とは
米百俵は、幕末の長岡藩の藩士小林虎三郎の故事です。北越戦争で敗れた長岡藩は、石高を6割減らされ、財政が窮乏し、その日の食べ物にも困る状況となりました。窮状を見かねた三根山藩(長岡藩を宗家とする。現在の新潟市西蒲区峰岡)から百俵の米が贈られることとなったのですが、長岡藩の小林虎三郎は、贈られた米を藩士に分け与えず、売却の上で学校設立の費用とすることを決定しました。藩士たちは反発して虎三郎に抗議しましたが、それに対し虎三郎は、「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」と諭し、自らの政策を押しきったということです。
せっかくもらった米を分け与えないなんて、暴動になりますよね。
藩士に与えるべき米というのは、公務員の給料みたいなもんでしょうかねえ。一人一人に分け与えるとおなかいっぱいにはならないという意味かなあ。
米百俵が賞賛された理由
この故事は昭和18年に刊行された、山本有三のベストセラー「米百俵」によってひろく知られるようになりました。また、「米百俵の精神」として、内閣総理大臣小泉純一郎の所信表明演説で引用されて有名になり、2001年の流行語大賞にも選ばれました。この年に歌舞伎座で22年ぶりに上演され、小林虎三郎役の中村吉右衛門と観劇した小泉首相が握手してますね。長岡市内では6月15日に「米百俵デー市民の集い」が開催されています。
私見ですが米百俵が賞賛された理由は以下のとおりです。
1.指導者が明確なビジョンを持っていた。
2.明確なビジョンで周囲の反対を説得して押し通した。
3.目の前でおきていることに直接対策する施策ではなく、それを解決するための将来を考えた施策であった。
4.教育つまり、人づくりこそが重要であると看破していた。
5.これらは、今も変わらない真理であり、今の人にも訴えるものがある。
6.国漢学校はわずか2年あまりでその名が消えたが、国漢学校の流れをくむ学校が数多く誕生し、そこからは近代日本の発展に貢献した人材が多く輩出している。
7.長岡では「人づくりはまちづくり」として米百俵の精神が受け継がれていたため、いち早く戦後復興を行った。
そう言われると「なるほど」と今でも感じますよね。
たしかに、今の時代にも通じますね。
米百俵から学ぶこと
私見ですが米百俵から学ぶ点は以下のとおりです。賞賛の理由とほぼ同じですが。
1.リーダーが明確なビジョンを持つこと
2.将来を見据えた施策は一見すると理解できないことが多く、説得が必要
3.ビジョンを実現する中長期の計画を立てること
4.中長期計画では、人づくりが施策に欠かせないこと
5.人づくりの基本の中に「教育」「学び」を入れること
そういわれると、当時の首相である小泉さんが引用したのも、理解できますね。
強いリーダーのイメージですね。
米百俵から学ぶ中長期的なビジョンづくり
米百俵から学ぶ中長期的なビジョンづくりは以下のとおりです。
1.ビジョンが明確であること
教育にお金を投資するなら、その成果がどう出るかも絵に描いて説明すると効果的です。「教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」といってますね。将来の会社を支える人物像もあるとわかりやすいですね。
2.現状を把握すること
現状をよく把握することが大事です。米百俵では長岡藩の来るべき時代を担う人材が不足していたと分析したのでしょう。会社の仕組みに問題があるのかと言うように様々に分析する観点が大切です。
3.外部環境を分析すること
米百俵では幕末から明治維新への混乱期を分析して、どのような教育をして、どのような人材が必要かを考えたはずです。今の時代から見える将来に必要なことを考える必要があります。
4.戦略をたてる
米百俵では、学校づくりが戦略の大きな柱でした。今の時代には学校が必ずしも必要ではありません。動画学習などを取り入れるといいでしょう。
5.数値目標とアクションプランの作成
数値目標とその実現のためのアクション・プランを作成します。
なんと言っても「百俵」を人作りに使うと「一万俵」になるというのがわかりやすいですね。
明るい未来を強い決意や覚悟で実現するという構想が感じられますね。
米百俵から学ぶ人づくり
米百俵から学ぶ人づくりは以下のとおりです。
1.人づくりのビジョンを持つ
小林虎三郎の教育論「興学私議」では「教養を広めて人材を育する」という考えを述べています。人びとのくらしが豊かになるのも、国が富むのも、人民の教育が左右するというものです。
2.時代にあった教育方針
米百俵では、教育内容までも革新的でした。従来の藩校は漢学でしたが、国漢学校では日本の歴史や国学、さらに洋学、地理や物理、医学までも、質問形式の授業で学ぶことができたそうです。今ならAIでしょうか。
3.人材を広く考える
米百俵では、身分にとらわれず庶民も入学できたそうです。今でも、「営業は営業マン」「開発は開発者」と考えると強い人材になりませんよね。
人作りの内容も革新的でしたね。
グローバルとか、AIとか、変化が激しいですから、どんどん学習する必要がありそうですね。
AI時代の学び
長岡市の米百俵デー市民の集い記念講演会は、新井紀子さん「AI時代を生き抜くために ~今、必要な力とは~」です。
まさに、世は生成AI,ChatGPTについて報道されない日はないくらいのムーブメントが来ています。あっという間に仕事の仕方が大幅に変わってしまうことが予想されます。従来の固定観念を捨てた「AI時代の学び」が求められています。
ICTツールの進化によって、今までは想像もできなかったことができる時代が今そこに来ています。ICTツールの活用次第では、企業業績に差がつくことになるでしょう。情報そのものよりも、情報を活用して「何がしたいのか」が重要になってきます。
AIが人間の仕事を代替する時代が迫っています。かといって、人づくり=教育がムダではありません。ICTツール,AIを活用する構想や戦略を練るのはまだ人でしょう。そして、お客様が人である以上は、お客様の喜びなどを感じ取って戦略に活かす必要があると思います。今、長岡藩が国漢学校を作ったらDXやAIは必須でしょうね。
新井さんに興味が湧きました。
教育の内容も見直さなくてはいけませんね。
中小企業と米百俵
中小企業では、利益を分配するか投資するかという問題になります。米百俵の精神は、将来への投資を進める考え方です。また、赤字のときに真っ先に研修費用を削減することもあるでしょう。米百俵の精神で、その場合はもう一度よく検討してもらいたいですね。藩士を説得する小林虎三郎みたいに。
あっという間に時代に取り残されるという危機的な状況にあるかどうか、感じてほしいですね。
長岡藩も決して大企業ではなかったでしょうね。
笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。米百俵は決して穏やかな時代ではなかったと思います。しかし、国漢学校で学んた人々には学びの喜びがあったとおもいます。人が学ぶ喜びを知るような教育・研修が、将来を支える人材づくりになります。
AI時代でも学ぶ喜びは変わらないかもしれませんね。
その企業の将来を考えるひとづくりというものは、とても大切ですね。
まとめ
「米百俵」は長岡藩がいただいた「米百俵」を食べず「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」として学校を作った故事です。小泉首相の所信表明演説で有名になりました。私見ですが米百俵から学ぶ点は、「リーダーの明確なビジョン」「反対への説得」「人づくりが将来に備えた重要戦略」ということです。企業でも従来の固定観念を捨てた「AI時代の学び」が求められています。お客様の喜びを感じ取って戦略に活かしたり、自分で学ぶ喜びを知るような教育・研修が、将来を支える人材づくりになります。
今日も難しい課題でしたが、「米百俵に学ぶ研修」「AI時代の人づくり」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。
これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。
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(了)