行政書士霜田眞法務事務所 笑顔経営塾 第56回:デザイン思考をしよう~人間中心のイノベーション企業へ

第56回:デザイン思考をしよう~人間中心のイノベーション企業へ



目次

概要

第56回は「デザイン思考をしよう~人間中心のイノベーション企業へ」です。

塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。

第56回は「デザイン思考をしよう~人間中心のイノベーション企業へ」です。

就活でも有名になったデザイン思考ですね。

今や「デザイン思考でないと、学生が集まらない」、あるいは逆に「デザイン思考ができないと就職できない」の印象をうけます。

言葉が先行してる感じもありますね。

デザインという言葉はみんな知ってるわけです。そこに「思考」とつけられると「何か特別な思考法なの?経営をデザインすればいいの?」という興味がわく言葉でもありますね。

そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?

人間中心のデザイン思考とは

デザイン思考とは、人間=ユーザを中心にするデザイナー特有の考え方に基づく活動を指す言葉です。デザインコンサルティング会社IDEOは有名な企業と数々のプロジェクトを成功させてきました。同社CEOで「デザイン思考が世界を変える」の著者ティム・ブラウンは「デザイン思考の伝道者」とも呼ばれています。「デザインはどう変わるべきか?」「デザインは人間にどう役立つべきか?」「デザインはどんな問題に取り組むべきか?」「誰が、どんな風に?」という問いかけが基本です。スタンフォード大学のd.schoolなどでは、デザイン思考は企業のイノベーションの手法として体系化されています。

人間中心のデザインから始まって、企業革新の手法になっているわけですか。

デザインで人間に近づくことがイノベーションに結びつくわけですね。

デザイン思考が推奨されている日本の状況                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

経済産業省と特許庁の「産業競争⼒とデザインを考える研究会」は2018年5⽉23⽇に、「デザイン経営宣言」を発表しました。「「デザイン経営」とは、デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活⽤する経営である。」としています。さらに、経済産業省では、「Policy Design School」を立ち上げ、職員がデザイン思考などを学ぶ機会を提供し、民間人材との共創を通じた政策立案プロセスを試行しています。
また、近年の新たな潮流として、就職活動においてデザイン思考を重視する企業が増えています。特にDXなどを手掛けるIT系企業ではユーザビリティや顧客体験を改善させる発想を得る上で重要なスキルですが、その他の業種でも選考の一環として取り入れられるのが現状です。そのため「デザイン思考テスト」が選考過程に取り入れられるようになってきているのです。

政府が推奨というわけですね。学生も対策しないとですね。

特許庁までかかわるというのも面白いですね。

よく取り上げられる実例                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           

IDEOでは​​Appleの初代マウス​​など様々な画期的なプロダクトを世に生み出すに至りました。GAFAをはじめとして多くの著名企業や教育機関でも、デザイン思考を活用したアプローチが進められています。アップルのアイフォンや任天堂のwiiもデザイン思考の製品ですね。
GEヘルスケア社の取り組みも有名です。子供にとって「怖い場所」だった病院の壁や医療設備に宇宙船や海賊船などを描き、楽しい「冒険」の場に変えました。台本も用意し、子供たちが冒険の主役になりきって検査に取り組めるようにサポートしたそうです。
目薬のロート製薬のリニューアルにあたり、製品紹介だけではなく、「目のお悩み解決&自分に合った商品と出会える場所」というコンセプトで、サイトとコンテンツ、箱・袋のデザインのアップデートを行ったようです。
中部経済産業局が発表した、デザイン思考活用講座解説書には、業務用洗濯機、折りたたみ紙管椅子、九谷焼ワイングラスが紹介されています。

もうかなりの企業で成功例がでていますね。

たしかに、本質的なものに近づくアプローチですね。

5つのプロセス

デザイン思考は5つのプロセスに分けて説明されます。
1.共感
 ユーザーの共感です。インタビュー、アンケート、観察により、ユーザーが何に共感しているのか、本当に求めているものは何かを見つけ出します。経験価値も大切です。
2.定義
 ユーザーのニーズを定義します。何を実現したいのか、潜在的な課題は何なのかを抽出します。
3.概念化
 解決するアイデアやアプローチ手法を話し合います。ブレーンストーミングなどの手法を用いて、量を意識して発散したあとに収束します。
4.試作
 収束したものを試作します。一度形にしてみることで、新たな視点や問題点に気づきます。
5.テスト
 試作品のユーザーテストを繰り返します。フィードバックからブラッシュアップします。より精度の高い製品やサービスを目指します。

最初のニーズの掘り起こしも特徴がありますが、試作とテストがデザインらしいですね。

仮説と検証ですね。

メリットと限界

以下のようなメリットと限界があります。
■メリット
1.アイデア
 アイデアをたくさん出すプロセスを大切にしています。
2.イノベーション
 ユーザーの本質的なニーズに立ち返るので、改善ではなくイノベーションにつながります。
3.多様な意見
 アイデアを多数出してそれらを受容することで多様性が生まれます。
4.チームの強化
 全員参加でコミュニケーションを図るため、チームが強化されます。
■限界
1.ユーザ思考
 ユーザが気づかない点まではなかなか気がつきにくい。
2.創造的でない
 ユーザがいる前提なので、一からというよりは、製品改良に向いている。
3.アイデア次第
 結局はメンバーのアイデア次第になる。

デザイン思考をいかすための要素が確立されてます。

デメリットと言われる点も、補完はできそう。

イノベーションができる組織へ

デザイン思考を活用した商品開発でイノベーションを起こすためには、従業員一人ひとりがデザイン思考を学び、実践していくことが重要です。デザイン思考は専門的なスキルが必要であるうえ、演習とフィードバックも効果的ですので、デザイン思考研修をおすすめします。デザイン思考を行う慣習が社内全体に広がらない限り、デザイン思考によるイノベションは実現されません。従業員がワークショップを行うなど、デザイン思考に基づくディスカッションやブレインストーミングを実践する機会を定着させることが効果的です。

研修を受託する会社も多数ありそうですね。

研修と研修をいかす習慣ですね。

大切な能力

デザイン思考に必要な能力は次に要約されます。
1.直感で判断する能力
2.パターンを見分ける能力
3.機能性だけでなく感情的な価値を持つアイデアを生み出す能力
4.単語や記号以外で自分を発信する能力
5.他者の生活から洞察する能力

デザイナーの特徴ですね。

人間中心で直感や感情を大切にしたところが普及した要因でしょうね。

中小企業とデザイン思考

中小企業はいいものを作れば売れると考えてしまうことが多いです。しかし、お客様のニーズの変化を見落としてしまい、売れなくなって悩むケースもあります。またイノベーションができなくて悩む経営者の方は多いです。そういうときに、ひとつのやり方を提供してくれるのが、デザイン思考です。お客様のニーズをしっかりと把握しなおすところから、始めることでイノベーションにつながります。組織の中に定着させることで、強い企業となります。

ちょっと遠回りになる印象ですが、強い組織にはなりそうですね。

初心に返ることですね。

笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。デザイン思考では、社員のアイデアを大切にします。お客様のニーズを把握したうえで、議論をすることでチーム力もあがります。デザイン思考をとりいれると、社員の雰囲気もよくなり業績もあがります。

組織を転換させる力がありますね。

本質的な問題解決にせまりますからね。

まとめ

デザイン思考は人間中心のデザインをもとにした洞察・観察・共感・経験を大切にするイノベーションの手法です。デザイン思考は「共感」「定義」「概念化」「試作」「テスト」の5つのプロセスに分けられます。デザイン思考でイノベーションを起こすためには、従業員一人ひとりがデザイン思考を学び、実践していくことが重要です。研修のあとに従業員がワークショップを行うなど、デザイン思考を実践する機会を定着させることが効果的です。お客様のニーズを深堀りしたうえで、議論をすることでチーム力・開発力もあがります。デザイン思考をとりいれると、社員の雰囲気もよくなり業績もあがります。

今日も難しい課題でしたが、「デザイン思考研修」「デザイン思考のイノベーション組織作り」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。

これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。

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(了)