概要
第17回は「失敗から学んでいますか」です。
塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。
第17回は失敗から学んでいますかです。
よく失敗することがあるから、そこから反省するということでしょうか?「反省だけならサルでもできる」なんていう言葉が流行りましたねえ。
日本では、謝罪会見で頭を下げる方式が定着してますねえ。きっと心の中で秒数をカウントしてるんだろうと思ってしまいます。
日本では、最初に謝罪ありきになりますね。しかも、それで終わることも多いです。
世の中は失敗だらけといっても過言ではないと思っています。会社経営では、お客様があるし、経済も変動します。競合相手もいます。ものづくりでは、季節変動や温度、湿度の変化さえ影響するでしょう。おもいどおりにいかなかったところから、それを広く「失敗」ととらえて、そこから学んで、次はうまくやろうという考え方が大事です。
たしかに失敗する人がいると、説明より謝るほうが先だという風潮はありますね。
そういう風潮では、進歩しないといいたいんですね。
畑村洋太郎先生の「失敗学のすすめ」というものもあるくらいです。「失敗は成功の母」を科学的に実証した本といわれています。
今回は、失敗と原因分析のお話をして、安全衛生での労災事故は別途お話しようと思います。まずは、失敗を分類することが大事です。
学問という形で「失敗」と向きあうわけですね。現実の複雑な世界で起こることを理論化するわけですね。
そこのところもう少し詳しく教えていただけますか?
失敗原因の分類
失敗原因から分類すると、いくつかの分類がありますが、まずは、「未知」「無知」「不注意」「その他」と分けられます。
「未知」は、世の中で誰も知らないような原因です。防ぐのは難しいですね。
「無知」は、原因がわかっているのに、失敗した人が知らなかったケースです。
「不注意」は、原因も対策も知っているのに、不注意で失敗するケースです。
「その他」は、上記3つ以外です。上記3つは、どんな失敗でも共通して考えるものですが、その他は、「設計時の失敗」であれば、設計特有の失敗原因を上記3つ以外から分類するといいと思います。例えば、設計過程での誤判断などです。
「未知」「無知」の違いは重要ですね。先端技術の実験でもないかぎり、あまり「未知」はなくて、実際には「無知」「不注意」「その他」だとわかれば、対処の方法がありそうですね。「不注意」なんかは、しつこく注意を促すのがよさそうですし。
失敗事例や、会社の業態などで、分類すると対策も効果的になりそうですね。たとえば、飲食店でのお客様のクレームからわかる失敗の分類などが考えられそうです。
また、ルールを守るという観点からは、4つに分類することができます。
1.ルールがなかった(未知)対策はルールを作る
2.ルールを知らなかった(無知)対策はル-ルを教える
3.ルールを知っていて守らなかった(故意と過失)対策は、ルールを守らせる
4.ルールを守っていても失敗した(変化)対策はルールを変更する
最後の4番は1番に近い現象ですね。1番と違うのは、ルールは一応あったということです。そのルールが環境の変化などにより、適切なルールでなくなったいたというケースです。
ルールというのは、法律的なものというよりは、作業マニュアル、手順書などですね。
環境の変化という視点は重要ですね。
ヒューマンエラー
ヒューマンエラーとは、人間が原因となって発生するミスや事故のことです。人間は間違いを起すという前提で考えると、予防策に重点を置く必要があることがわかります。原因の種類としては、忘却、不注意、注意散漫、誤認、思い込み、惰性、近道行動、疲労、体調不良、ストレスなどがあり、複雑にからみあうこともあります。
人は間違いを起すものだといってくれると少し救われます。
たしかにね。犯人捜しをして個人の責任にしてしまうと、進歩がない気もします。
失敗の分析
原因分析の手法としては、「なぜなぜ分析」と「特性要因図フィッシュボーン分析」が有名です。「なぜなぜ分析」はトヨタのものづくりが発祥で、なぜなぜを5回繰り返すといわれています。「同じトラブルを繰り返さない」という前提で、真因にいきつくまで「なぜ」を繰り返します。「特性要因図」のほうは、魚の骨のように、関連する要因を枝分かれの中に分類していきます。
また、3Hといって「初めて」「久しぶり」「変更した」ときに事故がおこりやすいといわれていて、原因分析や対策設定のヒントになります。品質管理には変更点管理・5M変更という考え方もあります。
なぜなぜ分析も特性要因図も使いかたを間違えないことが大事ですね。
たしかに、なにか変更するとトラブルがおきやすいですね。原因がわかれば対策をしっかりですね。
失敗から学ぶしくみづくり
1件の大きな事故の裏には29件の軽い事故があり、その裏には300件のヒヤリハットが隠れているというハインリッヒの法則があります。失敗は起こるものという前提が大事です。まずは隠さないこをを徹底しましょう。「これは上に上げるほどのことではない」という判断が一番危険ですね。失敗が明かになったら、応急措置はとるとしても、そのあとの原因の分析と対策が大事になります。
くれぐれも、「全社一層気を引き締めて対処」のような精神論で終わらないようにしましょう。
対策として導入してほしいのは、一つ目はフェールセーフです。フェイルセーフ(fail safe)とは製品やシステムに故障あるいはエラーが発生しても安全が維持できるように工夫することです。ミスやエラーが発生しても、安全側に向かうような工夫をあらかじめするわけです。異常を検知して停止する電車のしくみがいい例です。
もう一つは、フールプルーフです。フールプルーフ(fool proof)とは人間が誤った行為をしようとしても出来ないようにする工夫のことです。洗濯機はふたをしめないと回転しないように設計されていて、手をはさむ危険を予防しています。
請求書の誤送付を防ぐために、二重でチェックする方法もありますが、窓明き封筒で中に書かれた住所がそのまま宛先になる工夫などもいい例ですね。
安全を守るしくみが、失敗を防ぐ代表例ですね。
失敗例を展開して、「他山の石」にしなければなりませんね。
畑村先生は、「失敗の暗黙知を活かせ」といっています。意味のない失敗の繰り返しを防げともいっています。失敗を管理して、改善することは、企業成長の近道かもしれませんんね。
失敗にむきあうことですね。
怖がったり、隠したりしてはもったいないですね。
まとめ
失敗は企業経営に不可避です。謝罪や責任追及に追われるのではなく、失敗を明らかにして、「なぜなぜ分析」や「特性要因図」でしっかり原因分析を行い、それに対策をすることで、着実に改善されます。ヒューマンエラーは防ぐことが困難ですからフェールセーフやフールプルーフも大事です。「失敗の暗黙知を活かす」仕組みを定着させ、失敗を成功の母にしましょう。
今日も難しい課題でしたが、「失敗から学ぶ仕組み作り」「失敗予防策の立案」などでお手伝いさせていただくのが一番大事かもしれませんね。
これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。
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今回は、「失敗から学んでいますか~分類・分析編」について、ご理解いただけたと思います。
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(了)