行政書士霜田眞法務事務所 笑顔経営塾 第66回:キャリア開発しよう~個を自律的に伸ばす企業へ

第66回:キャリア開発しよう~個を自律的に伸ばす企業へ



目次

概要

第66回は「キャリア開発しよう~個を自律的に伸ばす企業へ」です。

塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。

第66回は「キャリア開発しよう~個を自律的に伸ばす企業へ」です。

キャリア開発は人事部門・人材開発部門の定番メニューですね。

日本型雇用からジョブ型雇用に移行する流れの中で注目されていますね。

転職も増えてるらしいけど、企業が行うキャリア開発は転職を勧めるためにするわけじゃあないですからね。

会社のためになるキャリア開発じゃあないと、あまり意味がないですよね。

そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?

キャリア開発とは

キャリアとは「経歴」や「職業」、あるいは「出世」などを意味があります。キャリア開発は、会社側が行う取り組みで、従業員がよりよいキャリアとなるように、計画し、適切な成長を促していくものです。キャリアを広げて作るようなイメ-ジです。
具体的には、いろいろと手法がありますが、基本となるのは個別面談です。その企業で成長するイメージをして課題を与えます。そのうえで、アドバイスしながら自律的に継続的に成長してもらいます。

社内でのキャリアアップや能力開発に会社が協力する感じでしょうか。

全員昇進はできないでしょうから、別の目標をもたせるのかなあ。

今なぜ、キャリア開発が必要なのか                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

今なぜキャリア開発が必要なのでしょうか?以下の理由が考えられます。
1.日本型雇用が終わってジョブ型に移行しつつある
 新卒採用から定年までという定番の流れが保証あるいは推奨されない時代になっているので、自分のキャリアが描きにくくなっている。
2.ジョブ型で求められることが変わってきている
 昇進のためとか管理職になるための、キャリアアップの研修内容が時代にあわなくなりつつある。
3.不安感を持っている
 時代の変化の中で、自分が将来どうしたらいいか不安感を抱えている。
4.働き方改革・ワークライフバランス
 会社側としても、家族や人生設計を含めた理解をする必要があり、会社と社員が話しあわないと、キャリアを描けない。
5.転職したら解決するわけではない
 自分のキャリアのために転職しても、不安感がすべてが解決するわけではない。悩みを解決するための努力は、今いる会社の中でこそできることがある。それを会社側と理解しあうのが最良の解決策になりうる。

時代の変化が押し寄せてますね。

転職は夢を実現するための手段でいうと、その一つにしか過ぎないわけですからね。

厚労省・経産省などの考え方                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

厚労省では、キャリアコンサルティング制度の施策をしています。社員の人材育成(職業能力向上)や若手社員の定着支援など、課題の解決に結びつけるため、企業におけるキャリアコンサルティングの導入を促進する様々な施策を行っています。
中小企業には、厚労省は人材開発支援助成金(旧・キャリア形成促進助成金)、キャリアアップ助成金という2つの助成金制度を設けています。自社が想定しているキャリア開発の取り組みが、助成金の支給要件に該当するか確認することをおすすめします。
経産省では、人生100年時代の社会人基礎力という取り組みをしています。「新・社会人基礎力」は、個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力と定義され、社会人基礎力の3つの能力/12の能力要素を内容としつつ、能力を発揮するにあたって、目的、学び、組合せのバランスを図ることが、自らキャリアを切りひらいていく上で必要だとしています。
また、経産省では、「越境学習」が日本企業における人材育成の手法として注目を集めています。越境学習とは、所属する組織の枠を越え(“越境”して)学ぶことであり、「知の探索」によるイノベーションや、自己の価値観や想いを再確認する内省の効果が期待されています。社会課題に取り組む地方やNPOの現場に赴き、現実の社会課題解決に取り組むことで人材育成する実証事業が行われています。

政府も問題認識はしていますね。

あまり、世間にしられていない取り組みも多いですね。

キャリア開発のメリット~会社と本人と

■キャリア開発をすることの会社側のメリットは、以下のようになります。
1.個人と組織の活性化
 個人に組織の中での課題を与え、やる気を持ってもらうことで、組織も活性化します。
2.人材確保と定着
 企業の中で成長してもらうことで、人材確保にも定着にもつながります。
3.業績向上
 個人と組織が正しい方向に向かって努力することで、業績も向上します。
■キャリア開発をすることの本人のメリットは、以下のようになります。
1.自分の先行きや方向性が見える
 不安感をもっている場合も、自分の先行きに一定の方向性を持たせることで、安心につながります。
2.必要とされる能力向上
 上司と話し合ったうえで必要とされる能力の向上に取り組めます。
3.仕事に向き合える
 将来の目的をもって、自信をもって仕事ができます。
4.ワークライフバランスが可能
 家族も含めた状況を相互理解したうで、仕事と家庭の両立が可能となります。
5.自分の処遇に関する不満や疑問の解消
 例えば、女性は冷遇されていないか、などの不安がある場合も、疑心暗鬼ではない相互理解の場とすることができます。

お互いにメリットがあるんですね。

多様性の時代ですから、相互の理解が大事ですね。

ブランドハップンスタンス理論

ブランドハップンスタンス(計画された偶発性)理論というのがあります。アメリカのスタンフォード大学教授ジョン・クランボルツ氏が提唱し、多くのキャリアカウンセラーの間で共感を呼び実践されている理論です。小杉俊哉著「キャリア・コンピタンシー」で紹介されています。
私の理解ですが、簡単にいうと、「世の中は偶然が80%。偶然を主体的に活用することが可能なように計画的に行動することが大事」。たしかに、何かを常に思っているとそれに沿った出来事に偶然でくわすことがありますよね。自分の趣味に関することは、偶然であったことでも目にとまりますからね。いわゆる「引き寄せの法則」にも似ていますよね。キャリア開発でも、長いキャリアの間に起こる偶然のできごとを、自分にとっての幸運にするかどうかは、自分次第だということです。そのためにも、キャリア開発で自分の将来の向かう方向性を決めて計画的に取り組むことは、幸運をもたらす可能性が高まります。

面白いですね。キャリア開発でそんな迷信みたいなことが言われるんですね。

引き寄せの法則みたいな言葉のほうが日本では普及しそうですね。

キャリア開発の方法

キャリア開発を進める方法は以下のようになります。
1.会社全体でキャリア研修
 キャリア研修の中で行うパターンは次のようなものです。
 (1)対象者別(若手、マネージャー、シニア、女性、ローパフォーマー向けなど)
 (2)キャリア指導者向けキャリア面談の手法
2.キャリア面談を行う
 下記に注意してキャリアデザインをしてもらいます。
 (1)過去を振り返る
 (2)自分の興味があること、能力がある強み、大切にする価値観などを把握
 (3)ビジョンを描く
 (4)ビジョンを実現するプロセスを考える
 (5)自律的に主体的に取り組む
3.キャリアパスを用意する
 代表的なキャリアパスを用意し、制度で実現可能とします。
4.人事異動・出向・組織変更
 人事異動や出向が経験を積ませるための効果的な手段です。必要な場合は組織変更も行います。
5.副業
 人材を定着させ、経験を積ませるためには、副業を許可することも検討します。

研修と面談が基本ですね。

組織が小さいと経験を積ませる工夫が必要ですね。

中小企業とキャリア開発

中小企業では、少ない人数で組織も多くありません。経験を積ませるのが難しいのは事実です。逆にそのため、人材が固定化してしまうのが課題になります。キャリア開発を行って、社員に新しい課題と将来の方向性を与えることは重要になります。小さい組織の中で何らかの工夫は必要です。外部コンサルの活用や助成金を利用することも検討対象ですね。

組織の中でお互いの理解をふかめて経験を積ませるためには、人事異動もいいのですが、1週間とか1ヶ月とか違う仕事を体験させるのも効果があるじゃないですか?

開発者に現場の作業を1週間やらせるとか、そういう工夫はできそうですね。

笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。キャリア開発は個人に焦点をあてますが、会社のためでもあります。自律的・主体的に取り組ませることで社員のモチベーションがあがり、組織も活性化します。キャリア開発に全社で取り組むことで、業績にも寄与します。

将来への不安をなくすのは大きいですね。

転職を恐れるより、むしろ定着するような取り組みがいいですね。

まとめ

キャリア開発は、会社側が行う取り組みで、従業員がよりよいキャリアとなるように、計画し、適切な成長を促していくものです。キャリア開発をする会社側のメリットは、「個人と組織の活性化・人材確保定着・業績向上」などであり、本人のメリットは、「自分の先行き見通し・能力向上・ワークライフバランス・不満の解消」などです。キャリア開発を進める方法は、「キャリア研修・キャリア面談・人事異動」などです。キャリア開発は個人に焦点をあてますが、会社のためでもあります。自律的・主体的に取り組ませることで社員のモチベーションがあがり、組織も活性化しますので、業績にも寄与します。

今日も難しい課題でしたが、「キャリア研修」「キャリア面談サポート」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。

これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。

まずはお問い合わせください

今回のお話はいかがでしたでしょうか?

経営コンサル、社員育成は当事務所・リーガルフロネシス株式会社にお任せください。

経営理念の展開を通じての売上・業績向上、社員の育成を通じての組織改革には、計画的・長期的な改革推進が欠かせません。まずは、現状把握から始め、お客様にぴったりの方法をご提案します。

まずはお問合せください。より良い経営のために、戦略経営・人材育成のお手伝いをいたします。

(了)