行政書士霜田眞法務事務所 笑顔経営塾 第49回:心の癖はありますか~批判・自動思考からの脱却

第49回:心の癖はありますか~批判・自動思考からの脱却



目次

概要

第49回は「心の癖はありますか~批判・自動思考からの脱却」です。

塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。

第49回は「心の癖はありますか~批判・自動思考からの脱却」です。

心にも癖があるんですね。

条件反射のような自動思考はたしかにあまりよくないですが、ありがちですね。

前回のハラスメントもそうですが、企業で働いている一人一人の思考や行動が企業で悪い影響を及ぼすことがあります。そこで、ありがちな「心の癖」についてお話したいと思います。

会社では育った環境や考え方が違う人が一緒に働くわけで、いろいろな「心の癖」の違いが誤解や争いの原因になったりしてるのかもしれませんね。

そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?

心の癖とは

心の癖とは、性格や下心などのために考えがいつも特定の方向に動くことで、「こころぐせ」という言葉もあります。心癖は「生まれつきの癖。性癖。習性。」です。「生まれながら」というふうに解釈されますが、育った家庭環境が大きく影響していますね。子供の頃から現れる悪い傾向が、大人になっても続いたり、大きくなったりする場合がありますね。

たしかに、同じ現象を目の前にしても捉え方が違ったり、反応の強度が違ったりしますね。夫婦のすれ違いの原因かも。

うまれつきと言われると直すのが難しく感じますね。

認知の歪み(ゆがみ)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   

「認知」とは、その人自身の物事の捉え方や考え方を意味します。 いつも自分を精神的に追い詰めてしまったり、些細なことで落ち込んだり、すぐに悪い方向に考えてしまう考え方のパターンのことを「認知の歪み」といいます。同じ光景や出来事に遭遇しても、その受け止める人が事実として思うものは、認知の仕方によって異なります。出来事の受け止め方が人によって違うために、それに伴う感情や行動も、他人に理解されなかったり、常識外れとされてしまったりすることがあります。「推論の誤り」「思考のクセ」や「バイアス」などと言い換えられることもありますが、「論理的誤りに満ちている状態」と表現されます。程度の問題であるため、「認知の歪みが全く無い」という人はいません。「認知の歪み」という考え方も少し古いようです。認知の仕方にはかならずしも正解がなく、「歪み」と言える根拠がないからです。人それぞれ違う認知を「特性」であると考えて、そんな「特性」に苦しんでいる人に対しては、矯正ではなく、別の視点を与えて両方の認知ができるようにするというイメージが最近の認知行動療法の主流のようです。
代表的なものは以下のとおりです。
1.全か無か(中間を考えない極端な結論)
2.過度な一般化(ある事例を一般にもそうであるとして考える)
「いつも」「絶対」「すべて」「常に」「全く」「決して」という言葉をよく使います。
3.マイナス化(何でも悪いように受け止める)
4.結論への飛躍(根拠もなく結論を出します)
5.レッテル貼り(○○は~である。と名前をつけたりして決めつけます)
6.過大評価と過小評価
7.感情的決めつけ(感情で結論をだす)
8.べき思考(何でも~であるべきと考える)
9.個人化(何でも自分のせいにする)
10.心のフィルター(ネガティブな面ばかりに目がいってしまう状態)

「俺はもうだめだ」なんていう人は同情を誘ってるだけかと思いますが、べき思考の人は正しいだけに面倒ですね。

マイナス思考の人がいると、周りも暗くなりますよね。

認知の歪みにあるスキーマと自動思考                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

認知の歪みは、今までの経験や育ってきた環境が影響されるといわれています。 失敗経験が積み重なることで、なんでも悪い方に捉えてしまう思考パターンになってしまうのが好例です。この発生過程は「スキーマ」と「自動思考」に分けられます。
スキーマとは、「認知の偏りに影響する、より深い思い込み・信念の体系」を意味します。価値観と言い換えてもいいかもしれません。幼少や青年期に形成されるとされています。スキーマ(信念)の影響を受けて、自動思考が浮かびます。ここに、ネガティブな出来事や推論の誤りがあると、ネガティブな自動思考が生まれやすくなります。認知の根底にはスキーマがあり、その影響を受けて自動思考が生まれると考えられます。

難しい言葉はちょっとあれですけど、要は「信念」があって「自動思考」しちゃうわけですね。このカラクリが本人が気づいていない点が問題なんですよね。

昔はやった言葉で「ワンパターン」というのに似てますね。条件反射でだじゃれを言われるのも迷惑でした。

インナーチャイルド

インナーチャイルドというのは、心の中の、生まれた時から備わっている領域のことを言います。逆にインナーアダルトは生まれてから今までの間に学び、身に付けた領域です。アダルトチルドレンの人達は、幼少期、問題のある環境で育ったためにインナーチャイルドが傷ついてしまい、大人になってからもその傷が癒されずにいるために生きづらさを抱えています。認知の歪みはこの現象に発生過程が似ていて、原因となることもあります。他人と話していて、すぐに「自分が悪い」と思い込んでしまうのは、インナーチャイルドが傷ついている人の特徴であり、認知の歪みが発生しています。

何でも反対する人は、ある意味「子供」ですよね。

子供っぽい発言ばかりする人は、認知の歪みを抱えているかもしれませんね。

組織の中の弊害

認知の歪みはあくまでも個人の問題ですが、組織になじめずにやっかいな言動をする人は、認知の歪みを抱えているかもしれません。
例えば、会議の場で、「なんでも反対する人」「すぐにあきらめる人」「常に自分が正しい人」がいたら、会議が混乱することになります。「新規事業は失敗する」などと大声で言われたら、雰囲気が悪くなります。会社としても放置はできず、この改善に取り組む必要が出てきます。また、組織風土のなかに現れることもあります。たとえば、「定時で帰るとやる気がないと思われる」というような風潮です。偏る発言、決めつけは避けたいですね。

チームワークを乱すだけで、十分に弊害です。

上司にあたる人が保守的な思考が強かったりすると、会社のためにならないですよね。

ストレスチェック制度

労働者数 50 人以上の事業場では、労働安全衛生法でストレスチェック制度の実施が義務付けられています。メンタルヘルス不調を予防するためにストレスをチェックする制度です。認知の歪みは、ストレスに大きく関係していることがあります。高ストレスと判定された人は、希望すれば、医師との高ストレス者面接指導を受けることができます。また、ストレスチェックの結果に基づいて「集団分析」を行う事が努力規定として定められています。部、課、グループごとに結果を分析することで、どの集団が、どういったストレスの状況なのかを明らかにし、職場環境の改善へつなげることができます。これらの課程で認知の歪みが発見されれば改善の対象とすることもできます。

ストレスの原因は働き過ぎもありますけどね。

義務づけられた制度ですが、効果的な運用ができるといいですね。

組織での対策

会社として認知の歪みに取り組むためには、以下のことが考えられます。
■メンタルヘルス施策
企業として、第46回ブログでお話した、4つのケアに取り組むことが大切です。産業医によるカウンセリングも効果的です。
■対処方法の研修
自覚が大切ですから、以下のような対処方法の研修をあらかじめ行うことで予防効果があります。
1.いつもとってしまう思考の癖を自覚する
2.自動思考で結論をださすに違う確度から考える癖をつける
3.ポジティブに捉える
4.自分の思いや気持ちを冷静に客観的に話す
■チームとしての対策
会議などでは、発言が批判ばかりになったり、正論ばかりで実務を無視したり、「決めつけ」が横行しないように、ファシリテーションを行う。あるいは、有害な「決めつけ」ある場合は、自覚を促し、組織文化として定着しないように配慮する。
■リーダー・上司の個人指導
部下の認知の歪みが大きいと判断したら、面談のうえ自覚を促す。

個人の問題でも、組織として対策するのが効果的な気がします。

自動思考は自覚してもらって防ぐしかないですね。

中小企業と心の癖

中小企業では人数が少ない分、認知の歪みによる影響は大きくなります。問題行動の原因として認知の歪みがあることは多く、人の手柄を平気で横取りする人物や、自分のミスの責任を人に平気でなすりつける人というのはどのような組織、職場にもいるもので、中小企業では目立ってしまいます。会社としてしっかりと研修などでとりいれて予防するほうが賢明です。

中小企業での問題行動は影響が深刻になりますね。

難しい言葉でなく、実例をあげて平易な言葉で研修するのがいいかもしれませんね。

笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。「認知のゆがみ」は、ストレス、人間関係の悪化、ハラスメントの原因となります。「認知のゆがみ」は自己分析などで解消すれば、弊害を防止できるとともに、正しい判断と活発な意見交換が可能になります。

メンタルヘルスの向上策としても有効ですから、会社全体で認知の歪みに取り組んだほうがいいですね。

自分の癖は気づきにくいものですから、企業での取り組みが効果的ですね。

まとめ

何でも批判したり、些細なことで落ち込んだりするなどの心の癖を「認知の歪み」といいます。原因は、「スキーマ(信念)」と、その結果の「自動思考」です。代表的なものは「全か無か」「マイナス思考」「レッテル貼り」「べき思考」など10パターンがあります。「認知のゆがみ」は、ストレス、人間関係の悪化、ハラスメントの原因となります。これを研修、自己分析などで解消し、正しい判断と活発な意見交換をしましょう。

今日も難しい課題でしたが、「認知の歪みを解消する研修」「職場のメンタルヘルスづくり」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。

これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。

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(了)