行政書士霜田眞法務事務所 笑顔経営塾 第47回:ライフサイクル経営していますか~4種類のライフサイクル

第47回:ライフサイクル経営していますか~4種類のライフサイクル



目次

概要

第47回は「ライフサイクル経営していますか~4種類のライフサイクル」です。

塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。

第47回は「ライフサイクル経営していますか~4種類のライフサイクル」です。

ライフサイクルという言葉はよく聞きますが、ちょっと混乱することがあります。

4種類もあるんですね。

ライフサイクルというのは、人生において、誕生から死に至るプロセスの中で様々な節目があり、その度に社会的・肉体的・精神的に変化が起きることをライフサイクルと言います。幼少期から、進学や就職、結婚、退職などのステージと変化があり、この段階に分けることで、いい人生を送るための視点が生まれます。これらの考え方を、経営の中で取り入れることで、継続的な経営の視点から判断の材料となります、ただし、私の見る限りでは、4種類が使われているので整理しないとわかりにくいですね。

なるほど。ライフサイクルを経営にとりれるとしても、どう取り入れるかを整理しないと混乱が生じるわけですね。

そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?

4種類のライフサイクルとは

私の知る限りでは、ライフサイクルは経営の視点からは4種類が使われています。
1.製品のライフサイクル
  製品の販売開始から終了までのライフサイクル
2.顧客のライフサイクル
  製品を使う顧客そのもののライフサイクル
3.製品が顧客に使われるうえでのライフサイクル
  製品の購入から使用終了までの製品のライフサイクル
4.組織のライフサイクル
  企業の誕生から終息までのライフサイクル

といわれてもあまりピンと来ませんが、それぞれ意味があるんですね。

それぞれの使われる意味や背景が違うんでしょうね。

製品のライフサイクル(PLC)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   

製品のライフサイクル(PLC:プロダクト・ライフ・サイクル)は、「開発期/導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つの段階に分けられます。市場に投入された製品は、製品ごとの差はあるにせよ、4つの段階が進行します。それぞれの段階を把握することで、製品がライフサイクルのどの段階にあるかに応じて、マーケティングなどの戦略の判断をおこなうことができます。ほとんどが衰退期の製品ばかりなら、新製品の開発が課題になるわけです。

新発売の製品とすでに市場でよく知られている製品では、広告宣伝の方法が違ってきますね。

ある商品が売れなくなってきたら、「衰退期なのか」という分析が必要になりますね。

PPM

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)とは、1970年代にボストン・コンサルティング・グループによって提唱されました。
横軸に競争優位性(相対シェア)、縦軸に市場の成熟度(市場成長率)をとり、4つの象限に事業・製品群を当てはめます。それぞれの戦略が分かれます。
1.金のなる木 Cash Cow(右下)
 成長は期待できませんが、シェアが高いので稼げるだけ稼ぎます。稼いだお金を他に回します。
2.花形 Srtar (右上)
 成長が期待されますから、継続的に投資して金のなる木に育てます。
3.問題児 Question Mark (左上)
 成長が期待されますから、シェアを高めて、花形に育てます。
4.負け犬 Dog (左下)
 成長が期待できませんし、シェアも低いので早期に撤退を検討します。

とても理路整然とした考え方ですね。

そのとおりにはいかないのが現実かもしれませんが、参考にはなりますね。

顧客のライフサイクル

顧客のライフサイクルを把握し、顧客の成長にともなうニーズ、好み、所得の変化に沿って戦略を変えます。それぞれのライフサイクルに応じて提供する価値のラインナップを揃えます。裕福ではないステージには、低価格のエントリーモデルを買ってもらって自社に取り込み、お金にゆとりができるステージには、高額の高利益な製品やサービスを提供します。
■自動車
 初期は独身用のコンパクトカーで、家族が増えたらファミリーカー、裕福になったら高級車を提供します。
■教育
 顧客の幼稚園児、小学生、中学生、高校生に応じて継続的に成長をサポートします。
■趣味・嗜好の製品
 エントリー商品で趣味の世界へ誘い込み、その世界に深く入り、製品性能の差がわかるに従って上位商品へ誘導します。

とても、賢い戦略ですね。消費者はだれでも何かしらのこの戦略に当てはまっていますね。

消費者からみてもメリットがありますね。

製品そのもののライフサイクル

顧客ライフサイクルは様々な説があり、以下の7つのステージに分けることができます。
顧客購買ライフサイクルともいうことができます。
1.認知
  企業自体やサービス、商品について「知ってもらう」ことです。
2.興味
  認知された見込み客に「興味を持ってもらう」ことを目指します。
3.検討・評価・見積もり
  見込み客に購入の検討を行ってもらいます。
4.購入
  一度でも購入してもらいえば顧客となります。
5.使用・維持
  満足度が高い使用をしてもらい、購入後のアフターフォローで維持します。
6.ファン化
  サービスや商品を繰り返し購入してくれる顧客層をつくることで、口コミ効果も生まれます。
7.終息
  製品の使用を終了する段階です。

購買してから終了するまでに、やるべきことが多いんですね。

リピーターを作るのがいい戦略なんですね。

LTV

LTV(ライフ・タイム・バリュー)とは、顧客が自社と取引を開始してから終了するまでにもたらす利益の総額を算出する指標のことです。
日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。LTVは、商品を継続利用してもらいたいときや、商品やサービスの顧客ロイヤリティを高めたいときに役立つ指標です。
売上が大きい顧客は誰かを考えるときに、購入時に高額でも、維持費の収入が少なかったり、再購入がなかったらその購入額で終わります。しかし、保守維持費用を継続して支払ってくれたり、再購入してくれれば、高額顧客となります。
逆に顧客の視点からみると、購入費用だけでなく維持費用も含めて、コストパフォーマンスを考えることになります。この視点を営業活動で生かすことができます。

サブスクリプション型ビジネスは、買い切りとは異なり安定した収益のため、参入する企業が増えていますが、LTVを算出すると比較しやすいですね。

解約率を下げるという視点も重要になりますね。

組織そのもののライフサイクル

組織そのものにもライフサイクルがあります。
誕生、成長、消滅から再生までが検討され。それぞれの場面で課題があります。
スタートアップ企業では、エグジット(出口)として、上場やM&A(売却)が検討されます。また、経営者の高齢化に伴い、事業承継・相続も課題となります。廃業率は、当該年度に雇⽤関係が消滅した事業所数/前年度末の適⽤事業所数であり、2020年度で3.3%です。2010年度からは低下傾向で推移しています。

生き残るための戦略も必要ですね。

M&Aのマーケットもありますね。

中小企業とライフサイクル

中小企業だからこそライフサイクルを重視すると効果的です。
1.製品のライフサイクル
  少ない品揃えの中で、一つ一つのサイクルの見極めが重要です。
2.顧客のライフサイクル
  少ない顧客の中で、購入層の変化を見極めることが重要です。
  お得意様が加齢とともに嗜好が変化している可能性もあります。
3.製品そのもののライフサイクル
  少ない人員でいかにサポートを充実させるかが重要です。
4.組織そのもののライフサイクル
  国を挙げてスタートアップは奨励されていますが、すでに起業をしている中小企業の場合は、自社のライフサイクルをどう見るかで戦略が変わってきます。社員の高齢化、技術の遅れ、設備の老朽化などが進んでいる場合は、思い切った「リストラ」「再生」の道を選択したほうがいいこともあります。

ライフサイクルという視点で考えると、ダイナミックな戦略ができそうですね。

顧客そのものを考えたり、組織そのものを考えたりするときに、このライフサイクルの視点は、大きな時間の流れを意識することになって、有効な視点が得られそうですね。

笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。ライフサイクルの視点から、顧客との長期的で円滑な関係を築くことや、顧客の嗜好の変化を分析し対応することは、社員にとっても前向きでやりがいのある仕事になります。ライフサイクルは長期的な企業の継続にとって欠かせない視点です。

サブスクリプション戦略にもあいますね。

お客様の変化を把握したり、継続的な満足度向上を図ることはとても大事ですね。

まとめ

ライフサイクル(以下LC)は「製品のLC」「顧客のLC」「製品が顧客に使われるうえでのLC」「組織のLC」の4種類があります。LCの視点で、顧客との長期的で円滑な関係を築くことや、顧客の嗜好の変化を分析し対応することは、大きな時間の流れを意識した有効な視点が得られ、長期的な企業の継続にとって欠かせない戦略となります。

今日も難しい課題でしたが、「各ライフサイクル分析の導入」「ライフサイクルを生かした経営戦略の立案」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。

これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。

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(了)