行政書士霜田眞法務事務所 笑顔経営塾 第88回:社長が変わろう~裸の王様にならないために

第88回:社長が変わろう~裸の王様にならないために



目次

概要

第88回は「社長が変わろう~裸の王様にならないために」です。

塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。

第88回は「社長が変わろう~裸の王様にならないために」です。

裸の王様は子供向けの物語だと思ってました。今だったらSNSであっというまに拡散ですね。

比喩ですよね。

会社に裸で来る社長さんはいないでしょうが、社長が現場をわかってくれないと悩んでいる部下の方もいらっしゃると思います。あるいは逆に部下が本音を言ってくれないと悩んでいる社長さんはいらっしゃると思います。

たしかに本音で話すのはいいとわかっていてもなかなかできないんですよね。

そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?

「裸の王様」とは

『裸の王様』はアンデルセンの童話です。人間心理の弱点を捉えていて、身の回りに批判者や反対者がいないため、本当の自分がわかっていない人を示しています。社長という地位には、多かれ少なかれこういう現象があるのではないでしょうか?あるいは、こういう現象があるのに、本人たちは社長も部下も全く気づいていないこともあると思います。そこがこの問題を難しくする理由です。

忖度が多く、直接に意見をいうことが少ない日本社会には多いかもしれませんね。

不満をいうならまだいいですが、誰も不満を持たないで間違った方向にいっているとしたら、集団心理のこわさですね。

地位が人を変えてしまう理由

地位があがると人は変わってしまう理由は下記のとおりです。
1.成功の報酬で貪欲になる
 成功のためにさまざまなことを犠牲にするために、その報酬を受け取ることを望んでしまいます。成功が大きいほど犠牲も大きく、欲求も強くなります。市長室にシャワー室を作ってしまって批判されるなど、そういう事例はとても多いですね。
2.成功するまでに持っていた謙虚さを失う
 自分に対する批判や謙虚さを意識していたのが、成功することでやめてしまいます。
3. 自分がみえなくなる
 周囲を自分の支持者で固めるために、批判する声が届かなくなります。
4.地位を守ろうとする
 地位を守る意識が生まれ、リスクを避けるようなり、また自分のしたことやしようとすることを無批判に肯定する傾向が生まれます。
5. 成功は過去のことだと気づかない
 成功して地位にあがったのは事実ですが、過去の事実です。新しい環境の変化に対応する必要があることに気づかないことが多くなります。
6. 役割に振り回される
 地位に応じた役割を果たすことばかりを心がけてしまい、本来の自分を見失う傾向があります。
7. 部下と自分を比較する
日常では部下と自分の関係性が多く、部下を比較して批判することで自己を肯定する傾向が生まれます。
8. 現場を見る機会が減る
 地位があがると現場を他人に任せることになり、現場の感覚がずれ始めます。

地位があがって人が変わるのなら、昇格を望まない若者が増えているのも当然かもしれませんね。

居酒屋で上司の悪口は定番ですからね。

陥りがちな社長のタイプ

陥りがりな社長のタイプは以下のようになります。
1.部下不信型と過信型
(1)不信型:部下をもの足りなく感じてすべてを信頼しない。
自己肯定感が強い傾向があります。
(2)過信型:部下にいうことを鵜呑みにして疑わない。
  自己肯定感が弱い傾向があります。
2.振り回し型と振り回され型
(1)振り回し型:ひらめきが多く情熱もあるため、部下を振り回す
(2)振り回され型:二代目社長に多く、部下に振り回されてしまう
3.目先型と幻想型
(1)目先型:目先に没頭してしまい、計画的な課題に向き合えない
  極端な現場介入型もあります。
(2)幻想型:壮大な計画をたてて、目先の課題が見えない
  現実逃避型もあります。
  過度な投資・融資や華美な支出に走るタイプもあります。
4.優柔不断型と短絡型
(1)優柔不断型:決断力が弱く先延ばしが多くなる
(2)短絡型:短絡的によく考えず即決して行動してしまう

いずれも部下がなんとか対応していると、問題点が見えない危険性もありますね。

両極端が多いので、バランスをとるべきなんでしょうけどね。

変わるための現状分析                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

変わるためには現状分析をおすすめします。
1.社長の分析
(1)性格分析
(2)自己開示の度合い分析
(3)思い込みや偏見の分析
(4)リーダーシップスタイルの分析
2.社長と相対する直属の部下の分析
(1)性格分析
(2)自己開示の度合い分析
(3)思い込みや偏見の分析
(4)フォロワーシップスタイルの分析
3.経営における対話の数、場の現状分析
(1)会議
(2)メールなど連絡方法
(3)質問の多さなど

まずは現状の把握ですね。

現状に潜んでいる問題点が出てくるといいですね。

社長が自らできること

社長が変わるために自らできることは以下のとおりです。
1.自ら変わろうとする意識と取り組み
 社長には直言できないことが多いので、自らが変わろうとする意識と取り組みが大切です。ホンネを語る対話を意識的に増やすことが大切です。
2.日頃の心がけ
(1)普通の生活:華美な生活は人を変えてしまいます。
(2)自分の性格:短所を知り注意する
(3)小さいこと:現場で起きる小さいこともおろそかにしない。
(4)内省:常に自分の行動や言葉を振り返る習慣をつける。
(5)観測気球:ときどき部下の本音を聞く機会を持つ
(6)信頼:部下を信頼する
(7)責任:自分の行動や発言に責任を持つ
(8)対話:本音を聞く対話を常に心がける
3.チェックするポイント
(1)耳の痛い意見をいう部下・第三者はいるか
(2)王様は裸だという子供はいるか
(3)幻想を抱いていないか
(4)強欲になっていないか
(5)休息するなど離れた目で自分を見ているか
(6)日頃から意見を集める工夫はしているか
(7)自分の発言や行動に驕りはないか
(8)自慢話ばかりしていないか
(9)失敗から目をそむけていないか
4.イカロスの翼症候群にならないように気をつける
 イカロスの翼症候群とは頭が切れ、意欲もある人間が、一時は急上昇を見せながら、突如として判断を誤り、無謀な行動に出る現象です。急速な成長を遂げると、強欲になったり尊大になったり、さまざまな心理的な影響を受け、リスクが大きくなります。部下の意見を聴くように心がけましょう。

やるべきことが多いですね。

あたりまえのことだと思えばいいですね。

部下ができること

部下ができることは以下のようになります。
1.直言する勇気をもつこと
2.社長に自ら気づいてもらうように意識すること
3.信頼されるためにやるべきことをすること
4.対話の数を増やす提案をすること
5.現場の声をしっかり把握すること
6.上司の気持ちを理解すること
7.リーダーズインテグレーションの提案

部下ができることは限られますね。

でも社長と部下がセットで改善しないといけませんよね。

疑う文化

疑う文化が大切だといわれています。社長と部下の関係でも「疑う文化を持ったうえで信頼しあう」ことが重要です。
1.疑う力は生産性を上げる
 現状の問題点を発見するためには、疑うことから始めます。トヨタ式生産システムの「なぜなぜ」も疑う力ですね。
2.仮説と検証を繰り返す
 問題点の発見でも解決策の策定でも、仮説と検証の繰り返しが成功に結びつきます。
3.擬似相関も疑う
 擬似相関はよくビジネスの現場で起こる罠です。いい例が「年収が高くなると血圧が高くなる」という説です。本当の原因は年齢ですね。「コンビニの店舗数が増えると刑法犯認知件数が増える」の真因は人口増です。一見正しい結論なので飛びついてしまいます。この罠に陥ると、落ち度がない判断(論拠が成立している判断)だと思ってしまいます。

疑っても信頼しあうわけですね。

疑似相関は多そうですね。

中小企業の社長のありかた

大企業と比較して、中小企業は、社長の影響力も絶大です。社長が起業家であり株主であり、社長に実権が集中する例も多いです。しかし一人ではできないから会社を作るわけです。であればこそ社長と直属の部下の関係性が大事になります。裸の王様やイカロスの翼にならないように常に注意しましょう。逆にいえば、本音をぶつけあい、疑う力を持つ組織ができればチーム力も向上します。

個人事業主から企業になる境目が社長と部下の関係性の構築なわけですね。

信頼できる番頭さんや経営のパートナーと呼べる人が必要ですね。

笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。社長と部下の関係性は大きな影響力を持ちます。社長が部下を大切に思えば、おのずと部下の士気もあがります。社長が心がけるべきは、部下との対話や部下への信頼です。信頼関係のある組織は向上します。

夫婦愛みたいですね。

社長も部下も同時に改善にむかって努力してもらうえるといいですね。

まとめ

裸の王様というのは比喩で、社長には独善的になる傾向があるうえ、日本特有の忖度もあります。そのため、社長自らが変わろうとする意識と取り組みが大切です。ホンネを語る対話を意識的に増やすことが大切です。社長が日頃から周囲に自分へ直言する人がいるかチェックしてほしいですし、部下もホンネをいえるように信頼関係を築いてもらいたいです。本音をぶつけあい、疑う力を持つ組織をつくりチーム力を向上させましょう。

今日も難しい課題でしたが、「裸の王様リーダー研修」「社長と部下の関係性づくり」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。

これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。

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(了)