目次
概要
第87回は「背中を押そう~顧客満足向上の売り方のために」です。
塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。
第87回は「背中を押そう~顧客満足向上の売り方のために」です。
背中を押すというのは、子育てでもでてきますね。
迷っているお客様に決断させる方法でしょうか。
迷っているお客様の背中を押すというのは、言葉は簡単ですが、何か逆効果もありそうですよね。
たしかに、子育てでもそうですが、賛否両論がありそうですね。
そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?
「背中を押す」とは
背中を押すというのは、決断を促す行為です。お客様は購入するときに、迷いが生じます。この迷いをとることを意識すると、営業の成約率が向上します。ただ、顧客満足を向上するためには、購入する行為を無理強いすることのないように注意することが必要になります。営業のクロージング(成約)のテクニックとしてよくとりあげられることです。
ネットやテレビショッピングの「この放送から30分間限定」「初回購入限定」などというのもこの「背中を押す」行為にあてはまります。
迷いをとるのは大事なんですが、それを無理やりしないようにすることですね。
たしかにクロージングできるかどうかは営業マンの腕のみせどころですね。
「背中を押す」のメリット
「背中を押す」行為には次のようなメリットがあります。
1.迷いを取り除いて決断してもらう
2.すでに購入した方の好評価を伝えて、安心感を与える
3.購入する手続きを簡単であることをお伝えしてお手伝いする
4.競合品との差異を説明して納得してもらう
メリットは売上向上ですよね。
満足感のある購入とすることですよね。
「背中を押す」のデメリット
「背中を押す」のデメリットは以下のようになります。
1.背中を押されていると感じてしまう
2.「閉店セール」など同じ作戦であきられる
3.逃げられる
4.気持ちが理解してもらえないと感じられる
テレビショッピングの「社長安~い!!」などの常套文句はあきてきました。
「またか」と思いますよね。
購買プロセスの把握
「背中を押す」行為は購買プロセスの把握を前提としています。タイミングよく実施することが大切です。
1.基本はAIDMA(アイドマ)
(1)A(attention)注目・・・広告戦略で注目を集める
(2)I(interest)興味・・・情報の提供で興味に応える
(3)D(desire)欲求・・・実物体験で欲求に訴える
(4)M(memory)記憶・・・購入が可能と記憶させる
(5)A(action)行動・・・背中を押す
2.ネット時代のAISAS(アイサス)
(1)A(attention)注目・・・広告戦略で注目を集める
(2)I(interest)興味・・・情報の提供で興味に応える
(3)S(search)検索・・・ネット検索数を向上させる
(4)A(action)行動・・・ネットの文言で背中を押す
期間限定、数量限定、特典
(5)S(share)共有・・・SNS等で評価、共有する
3.独自の購買プロセスを把握すること
(1)自社製品独自の購買プロセスを分析して把握すること
(2)独自のプロセスの中で戦略をつくること
4.BtoB 対企業のプロセスを把握すること
(1)企業内の意思決定プロセスを把握すること、キーマンは誰か
(2)企業内の上流にアプローチすること
基本を押さえてから自社独自の把握ですね。
やり方は、対企業でも違うし、ネットでも違いますね。
行動経済学(ナッジ)の裏付け
行動経済学ではナッジといいます。ナッジは(nudge:そっと後押しする)という意味です。「NUDGE 実践 行動経済学 完全版リチャード・セイラー , キャス・サンスティーン (著),」という本でも紹介されています。親ゾウが、子ゾウの背中を鼻でちょっと押すように、強制や禁止をせずに本人の「よりよい選択」を後押しする「使える」経済学!というのが紹介コピーです。環境省でもこのナッジに取り組んでいます。(日本版ナッジ・ユニット)
以下が手順です。
1.行動特性による行動ボトルネック分析
2.行動促進策の設計
(1)ボトルネック要因に影響している行動特性を弱める
(2)行動特性を利用して行動を促す
・スモールアクション
・フィードバック
・経済的インセンティブの活用(ポイント制など)
・視覚的デザイン
・デフォルトの変更(おすすめメニューなど)
環境問題にも使われているんですね。
人間の行動を変えようとする点は同じですね。
背中を押す方法
背中を押す方法は以下のようになります。
1.営業クロージングの場合
(1)面倒くさい→簡単です。と説明する。実際に購入手続きを簡単にしてみせる。
(2)後にしよう→今のほうがいい。と説明する。期間限定特典なども効果的。
(3)他と比べたい→競合との違いでおすすめする点を説明する。あらかじめ競合製品と比較しておくことも重要です。
(4)不安感→すでに購入した方の好評価などを伝えて安心してもらう。
フォールスコンセンサス(FalseConsensus)で多数派だと思ってもらう。
(5)選択に迷う→あらかじめおすすめの選択肢を用意しておいて、それと比べると極端な案をつくって比べて選ばせる。
(6)安いかどうかわからない→他との比較もしておく。最初に予算や相場感を聞き出してそれにあった提案をする。高い場合はその理由も説明する。
2.ネット販売、テレビショッピングなどにおすすめ
(1)期間限定
(2)数量限定
(3)特典つき
(4)購買事例紹介
「よく一緒に購入されている商品」
「この商品を買った人はこんな商品も一緒に買っています」
3.一般的に使える方法
(1)ポイント制、会員特典
(2)おすすめメニュー、日替わり定食
(3)おまかせメニュー
(4)お客様の評価を公表
(5)新製品、新規メニュー、新体験
(6)セット販売
(7)購入後のタイミングでの抱き合わせ提案
テレビショッピングやネットショッピングの進化はすごいですよね。
営業の参考になる事例が多いですね。
気持ちよく背中を押す方法
気持ちよく背中を押すためには、以下の点が大切です。
1.共感すること
聞き役となり、しっかりニーズを把握してから背中を押すと、強制感がなく効果的です。
2.お客様の立場にたって想像すること
お客様の現状を把握して、なぜ迷うのか、なぜ決められないのか、買うとどんな満足がえられるのかなど想像することで、「背中を押す」いい提案ができます。
3.分析と準備をすること
購買プロセスも購買できない原因も人それぞれです。自社製品の特性もよく把握し、他社競合品との比較から、強みである点を分析する、好評価の事例を集めるなどの準備が必要です。
4.決めるのはお客様
主役はお客様であることを忘れないようにしましょう。対話の場面ではちょっとした表情の変化などを見逃さないようにしたいものです。
5.フィードバックを大切にする
ネット時代ですから、評判は拡散します。また、それが次の背中を押すことになります。好評価を得られるよう、購入した方のフォローも大切です。
共感と準備ですね。
それと強制しないこと。
中小企業と背中を押す
大企業と比較して、中小企業は、少ない資本で経営します。営業マンも少ないことが多いです。それだけに効果的な営業と成約率の向上が必要です。営業プロセスの最後のカギになるポイントを学習していただいて、効果をあげることが重要です。中小企業こそ、「背中を押す」ことの重要性を理解していただきたいですね。
基本を押さえて応用することですね。
中小企業にはそれぞれの特性があるでしょうから、カスタマイズすることが必要そうですね。
笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。「背中を押す」プロセスは、お客様に対する理解が不可欠です。と同時に社員同士の話あいや工夫も必要です。一人の営業マンが工夫してもいいのですが、会社全体で取り組むことがより効果的です。楽しく話し合って背中を押してもらいたいですね。
ちょっとこじつけ感もありますが、わからないでもないです。
お客様への強制感はなくすべきなので、社員も楽しくやるほうがいいですね。
まとめ
「背中を押す」というのは、お客様購入場面で、迷いを取除くなどの行為で決断を後押しする行為で営業クロージングでも使われます。ネット販売の、期間限定、数量限定等も該当します。おすすめメニューや好評価事例の紹介も効果的です。行動経済学に基づく分析と準備をして、お客様の立場にたった共感を忘れずに、背中を押して顧客満足を向上させましょう。
今日も難しい課題でしたが、「営業クロージング研修」「背中を押す戦略づくり」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。
これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。
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(了)