行政書士霜田眞法務事務所 笑顔経営塾 第40回:DX推進していますか~効率化と成長のために

第40回:DX推進していますか~効率化と成長のために



目次

概要

第40回は「DX推進していますか~効率化と成長のために」です。

塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。

第40回は「DX推進していますか~効率化と成長のために」です。

DXも最近よく聴きますけど難しい感じがします。

デジタル化やIT化の時代があって、IOT化に変わって、そのあとのDXからわかりにくくなっています。

私が入社した頃は、紙の世界でした。コピーもないので、複写カーボン紙を使っていました。まだ電卓すらありませんから、ソロバンでした。
そして、電卓、パソコン、ワープロ、コピー機、FAXとさまざまなデジタル機器を使うようになりました。
そのあとパソコンは共通化され、ソフトもエクセルやワード、パワーポイントが共通のツールになっていきました。インターネットも可能になりました。
大手企業では、グループウエアが導入され、社内掲示版などに活用されました。
この頃私はエクセルの関数を使いまわしたうえ、マイクロソフトアクセスも極めました。
さらに携帯電話、スマホ、オンライン会議と進化スピードが早くなっています。
中小企業でも簡単に導入できるLINE,SLACK,CHATWORKなどのメールにかわる連絡手段ができたり、DROPBOXやGOOGLEドキュメントなどでファイル共有も可能になりました。
DXはさらにその先を見据えた言葉ですね。
最近ではChatGPTなどのAI活用も話題ですね。

紙でとまっている会社さんからすると、不可能なくらい高いハードルに感じますね。でも、逆に既存のシステムがない分は楽かもしれませんね。

そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?

DXとは

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、企業が、ビッグデータなどのデータとAIやIoTを始めとするデジタル技術を活用して、業務プロセスを改善していくだけでなく、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革して、組織、企業文化、風土をも改革し、競争上の優位性を確立することとされています。
経産省が推進しています。

業務プロセスの改善だけでないわけですね。

目標が高いんですよね。

DX推進の背景

国を挙げてDXを推進する背景には次のようなことがあげられます。
1.人材不足
 少子高齢化とともに、人材不足も深刻です。業務を効率化しないと競争力を保てません。
2.システムの老朽化
 社内システムを導入している会社では、老朽化が目立っています。今スマホで簡単にできることが増えているので、余計に不満を感じてきます。
3.働き方改革とコロナ
 オンラインの仕事も増えています。紙が大きな障害となることが表面化してきました。DXを推進しないと、大きな差が生まれます。

人的資本経営が必要だという理由とよくにていますね。ちょっと違うのが既存システムの存在ですね。

既存システムのいうのがくせもので、修正できる技術者がいなかったりすると最悪ですね。既存システムを開発していた世代は、2007年頃から定年を迎えてますし、当時の古いシステム言語(COBOL)を使えるエンジニアも少なくなっています。

2025年の崖

「2025年の崖」は経産省が出した「DXレポート」で警告したもので、DX推進に向けて今の日本が抱えている深刻な課題を表しています。日本企業の約8割が抱える「老朽システム」は、2025年までに手を打たないと、最大で12兆円の赤字を出してしまう、という警告です。
基幹システムの多くは1990年代〜2000年代に開発されましたが、今では老朽化し、カスタマイズやオーダーメイドを繰り返して肥大化・複雑化しています。2025年に超高齢化社会をむかえることや、SAP社のERPなどのサポート終了時期が2025年前後に集中していることから、「2025年」がタイムリミットとして設定され、「2025年の崖」と命名されました。

社内の業務プロセスを忠実に再現する既存のシステムはその会社でしか通用しないカスタマイズが多かったですよね。ちょっとした改善でも時間とお金がかかります。オンラインのスマホアプリなどをみていると使い方も共通だし、費用も安いし、既存システムからの脱却はすぐに実施したいですね。

名刺管理アプリやスケジュール会わせのアプリなどは、本当に手軽で便利に感じますよね。

デジタル化のステップ                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

DXは非常に高い目標なので、次のようなステップを理解しないと混乱してしまいます。
1.デジタイゼーションDigitization
 従来の業務のまま、紙からデジタルに変えます。
2.デジタライゼーションDigitalization
 特定の業務をデジタル化します。業務フローを変えることもあります。
 購買業務、経理業務などのように各業務が独立してデジタル化する例が多いです。
3.DXデジタルトランスフォーメーションDigital Transformation
 組織全体を統一してデジタル化します。
 そのうえで、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革して、組織、企業文化、風土をも改革していき、競争上の優位性を確立することをめざします。社内だけでなく、社外関係者(顧客や取引先)も含めた事業創発や業務変革を通じて企業成長も目指します。

一般にIT化イコールDXだと思ってると勘違いがおきそうですね。

1と2は区別してもあまり意味がなさそうですが、3のDXは目指す目標が高いですね。

社内デジタル化

DXという高い目標にいくまでは、その前にステップを踏みます。それまでによく行われている社内のデジタル化は以下のようなものがあります。
1.ペーパーレス化と電子承認、電子印鑑
 紙の申請書などをエクセルやワードにすることは比較的簡単にできるのですが、いわゆるハンコ文化が残ります。承認については、社内コンプライアンスの関係で義務づけられるものあります。そこで導入されるのが、電子承認、電子印鑑、電子署名です。電子契約も同様の問題があります。手軽に利用できるソフトが提供され始めています。
2.会計ソフトと請求書発行システム
 会計ソフトで決算資料をつくることで会計数字の正確性が担保されます。会計には、証拠書類が要求されますので、正確な数字が決算に反映されます。同時に相手先への請求書を会計ソフトと連携することで、売上数字の食い違いが防止されます。
3.人事給与計算システムと給与の支払及び会計計上
 社会保険の控除や年末調整などを前提とした給与の管理をしたうえで、会計と連嶺します。
4.購買システム
 見積や発注の承認、納品、検収などのフローを管理します。
5.経費精算システム
 交通費の立て替え精算などを行い、会計ソフトと連動します。
6.RPA
 エクセルなどの繰り返し行うIT業務をロボット化します。
7.ファイル共有
 単純なフォルダーの共有だけでなく、編集可能とすることもできます。
8.コミュニケーションツール
 オンライン会議、チャット、スケジュール、タスク管理などがあります。

すでに行われているだけで幅広いですね。

全業務がITなしで成り立たないくらいですね。

グループウエア

従来社内IT化の切り札として期待されたのがグループウエアというソフトです。今あげたほとんどのIT化の中で、業務特化プロセス以外をまとめています。
従来はインストールソフトで提供されていましたが、クラウドが主流となりつつあります。
◆種類としては、
 Google Workplace, Microsoft365,desknet’s NEO,サイボウズなどがあります。
◆機能としては、
 メールアドレスとメール送受信、スケジュール管理、掲示板、共有設備の予約管理、ビジネスチャット、ファイルドキュメントの共有、社内SNS、社員名簿・連絡先共有、オンタイン会議
◆特徴としては
 バラバラにツールを導入するのと比べ、共通のアカウント管理ができます。
 セキュリティも統一で管理できます。

経理の数字とからまないところが多いので導入しやすいかも。

中小企業でも大企業でも使えるイメージですね。使えるとかなり便利そうなものばかりですね。

本格的なDXの進め方                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     

経産省では、DXのすすめ方について「DXレポート2」で下記のように整理しています。
1.製品・サービス活用による事業継続・DXのファーストステップ
 事業継続を可能するために市販製品で迅速対応します。
 経営トップは小さな成功体験で変化を歓迎する文化を創ります。
2.DXの認知・理解
 DXレポート、デジタルカバナンスコードなどの理解をします。
3.DX推進体制の整備
 経営層、事業部門、IT部門の共通理解
 CIO/CDXOによる推進体制
4.DX戦略の策定
 コロナを踏まえ、業務プロセスを見なおし
 成功事例を踏まえ、DX戦略を策定
5.DX推進状況の把握
 DX指標を用いて状況を定期的に把握
6.産業変革のさらなる加速
 内製アジャイル開発体制の確立
 ベンダーとパートナーシップ
7.デジタルプラットフォームの形成
 投資余力循環の確立
 業界共通プラットフォームを形成
8.DX人材の確保
 社外人材参加を前提にジョブ型人事制度を確立

業界共通とかまでいくと「ちょっと・・」という感じですが、体制と戦略と状況把握は大切ですね。

とにかくカタカナとアルファベットが多いので困りますが、ステップを踏みなさいというのはわかる気がします。

DX成功事例

経産省の中堅・中小企業向けデジタルガバナンスコードでは成功事例が紹介されています。
1.事例①|有限会社ゑびや/株式会社EBILAB(三重県伊勢市・飲食業)
・創業150年の老舗飲食店が、事業承継を機に1台のPCに手作業で天気や売上等のデータを入力するところから地道にデータ活用の取組を開始。
・7年間かけてAIによる来客数予測ツールを開発する等の取組により、「世界一IT化された食堂」として生まれ変わり、客単価3.5倍、売上5倍、利益50倍に増加。
2.事例②|マツモトプレシジョン株式会社(福島県喜多方市・精密機械部品加工)
・現社長は講演会でDXに触れ、変革を進めることを決断(「正しい危機感」に)。
・従業員の可処分所得向上を目指して、産学官連携システムプラットフォームCMEsを導入し、システムに自社の業務をあわせる形でDX推進に取り組んでいる。
3.事例③|株式会社ヒサノ(熊本市・一般貨物自動車運送事業・機械器具設置工事)
・社長は、ITコーディネーターとの対話を通じて、5年後のビジョンを明確化し、デジタル技術を活用した業務変革に着手した。
・従来紙媒体で管理していた配車等のプロセスを、クラウドシステムでの運用に切り替え。各業務システムとデータ連携し、会社全体(遠隔拠点含む)で業務最適化。

他の事業者支援をしたり、共通プラットフォームを作ったりして自社内でおさまらない広がりがありますね。

中小企業でもてきるんですね。

中小企業の取り組み方

経産省は、中小企業のDXに役立つ「手引き」と「AI導入ガイドブック」を取りまとめていますので、導入の断行となります。中小企業こそが取り組む必要があると感じています。
1.制度改正
 電帳法やインボイス制度などの制度改正の流れに対応するために必要となります。
2.人材の確保
 限られた人材でいかに生産性を上げるか」が問われることになります。新たな人材確保がさらに厳しくなる以上、業務のあり方そのものを見直すべき時期に来ていると言えるでしょう。いい人材をとって定着するためにも、デジタル化に取り組む必要があります。
3.BCP対策と事業承継
 災害大国日本では、BCP対策は必須です。また、後継者への事業承継でも業務プロセスの可視化は必要です。DXの推進によってビジネスプロセスが変わると、あらゆる情報はクラウドで蓄積され、インターネットを介してどこにいても業務を遂行することができます。
4.高付加価値が必要
 中小企業の存続のためには、高付加価値が必要です。DXは今でできなかった付加価値を増加させるチャンスともなります。

中小企業は取り組みが遅れていた分だけ、導入の効果も大きいですね。

AI事例までありますね。生まれ変わるチャンスかもしれませんね。

笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。DXに取り組むことで、リモートワークを可能にしたり、単純な作業を減らしたりすることができます。DXの推進は、コミュニケーションの増加にもつながります。DXこそが、企業変革の鍵になります。DXという高い目標にいくまでは、その前にステップを踏みます。

世の中の変化が早すぎるので、ガラパゴス化しないようにする必要がありますね。

DXを正しく導入すると、可能性が広がりますね。

まとめ

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタルを活用した業務プロセスの改善だけでなく、製品やサービス及び組織全体を改革し、顧客目線で新たな価値を創造することを目指します。DXのすすめ方としては、小さな成功体験からDX戦略をもとにしたDX推進体制が示されています。またAIを活用した中小企業の成功事例も紹介されています。中小企業こそ1.制度改正(電帳法やインボイス制度など)、2.人材の確保、3.BCP対策と事業承継、4.高付加価値化のために必要です。DXの導入は、大きな変革の可能性をもたらします。

今日も難しい課題でしたが、「DX導入現状分析」「DX導入支援とベンダーのとりまとめ」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。

これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。

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(了)