目次
概要
第70回は「プロセスマップを作ろう~業務改善と連携強化のために」です。
塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。
第70回は「プロセスマップを作ろう~業務改善と連携強化のために」です。
プロセスマップは「第68回フレームワーク」でも紹介されていました。
概略ですけどね。
会社で行う仕事は、管理部門の事務作業でも、製造の作業でも、営業の顧客への販売活動でも、すべての作業に一連の流れがあります。そしてそれらの流れがお互いに影響しあっています。
「第14回見える化」でお話がでたのと一緒で、一連の流れを把握することから業務改善が始まるわけですね。
そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?
「プロセスマップ」とは
プロセスマップとは、ビジネスの流れをプロセスとして見える化して、他のプロセスとの関係を明らかにし、全体のボトルネックとなっている箇所を発見し、改善に取り組むためのツール(フレームワーク)です。
単純な「業務フロー」とは少し位置づけが異なります。他との関係も明かにしますので、業務フローより大規模になります。また、社内でお互いに連携しあい、影響しあうポイントに焦点を当てます。
主にボトルネックつまり、全体の流れを遅らせるようなポイントを発見するんですね。
わりとはっきりとした目的をもっていますね。
プロセスマップの目的
プロセスマップの目的は以下のようになります。
1.見える化
自分たちのやりかたでやっていると、部外者にはわからない流れになっていることもあります。暗黙知ですね。これを明らかにすることはとても大きい意味があります。属人化作業も明らかにします。
2.ボトルネックの把握
他の作業との流れを連結して作成することで、ボトルネックが明らかになります。停滞している箇所と原因を明らかにします。
3.細分化
流れを細分化することも効果があります。細かく細分化することで、よくできている作業とそうでない作業、あるいはできばえの差が大きい作業、時間のかかっている作業もわかりやすくなります。
4.共通化
その作業をしていない人にも作業の流れがわかるようになります。用語の統一を図ることで共通の理解も生まれます。
5.組織の改善
作業と作業の関係性を明らかにすることで、理想的な組織体制がわかり、組織改善を図ることができます。人員の再配置にもつながります。
細分化もいいですね。細分化してみると、作業をしている人自身も気づいていないことがありますよね。
他部門が知ることで作業の連携がしやすくなりますね。
プロセスマップの作り方
プロセスマップは以下のような手順で作ることができます。
1.プロセスの階層を決める
全体の大きな流れを階層化します。そのうえで、プロセスマップとして書き出すプロセスの階層を決めます。上の大きな階層から初めて、下の階層へ分析を進めることになります。
2.インプット、アウトプットを決める
インプットは入り口で、アウトプットが出口です。その中間がプロセスで処理となります。インプットの前は、前工程であり、アウトプットの後は後工程です。
3.関連のあるものを書き出す
そのプロセスに関連のあるものを書き出します。他のプロセスとの連結点もありますし、そのプロセスで使用する基準や設備などもあります。
4.フローチャートを作成
一連の流れがわかるように図式化します。
5.全員で確認
かかわる全員で確認します。漏れや重複をなくします。
6.改善すべき課題を発見して改善
全員の確認する中で、ボトルネック、進行を妨げる要素、非効率的な要素、廃止できるステップ、効率化すべきタスクといった、改善ポイントを見つけたら、是正のための対策をとり、改善点を反映して更新します。
プロセスマップの作り方のプロセスマップがほしいです(笑)。
ボトルネックの見つけ方がポイントですよね。
TOC理論
TOC理論は、ボトルネックの解消で効果がある、エリヤフ・ゴールドラット博士の制約理論(Theory of Constrains)です。(詳細は日本TOC協会で)
1.制約か非制約か
組織における活動・結果は、他の活動・結果に依存あるいは影響を及ぼすと考えます。これが制約です。組織の中のプロセスを分析すると各要素が制約か非制約かを判断できます。全体の流れを左右している制約がボトルネックです。
2.制約する箇所を強化して繰り返す
制約する箇所が見つかったら、他のムダを省いてそのボトルネックに力を入れて強化します。この作業を繰り返します。
抽象的な説明はわかりにくいですね。
具体的な場面で改善の例があるといいですね。
業務フローでのサービス改善
業務フロー図だけでも、改善の効果があります。例えば、接客業のサービス改善があります。どの飲食店にいっても、「予約のお客様ですか」と聴かれますよね。店員はマニュアルどおりだと思いますが、客の反応ごとに店員の対応も枝分かれして決められていると安心できますよ。誰が対応してもサービスレベルを維持するのには、このマニュアルのできにかかっています。
1.業務フローを細分化する。
2.細分化した作業ごとに、顧客サービスからみてベストなマニュアルをつくる。
3.実際に行ってみた結果をふまえ、細分化したマニュアルにまた新たなフローとベストな対応を加えていく。
前は喫煙かどうか聴かれることが多かったですが、今はほとんどないですね。
メニューを聴かれるときに「ご一緒にポテトはいかがですか」はマクドナルドの偉大な発明ですね。
標準化
プロセスマップの標準化は以下のようになります。
1.JIS規格
JIS(X 0121)規格(情報処理用流れ図・プログラム網図・システム資源図記号)があります。
2.BPMN(ISO19510)
BPMNは、正式名称はBusiness Process Model and Notationで、業務プロセスを図と文字(XML)で表すためのルール集です
プール、レーン、開始イベント、シーケンスフロー、アクティビティ、ゲートウエイ、終了イベントなどがあり、その図形・表記法が決まっています。プール間でのやり取りをメッセージと呼びます。
3.産能大式フローチャート
システム分析・改善のための業務フローチャートの書き方 改訂新版に掲載されています。エクセル版も提供されています。日本で一番歴史があり、一番有名とも言える業務フローの作図方式です。上場申請書類の「Ⅱの部」 の業務フローを作成するのに欠かせない方式でした。記号だけでフローチャート図が書ける点がメリットです。事務フロー、マニュアル、業務改善、システム分析等、幅広い目的で活用されています。
産能大はみたことがあります。
産能大式は事実上の標準でしたよね。
プロセスマイニング
「プロセスマイニング」とは、従業員が行うさまざまな業務活動の「ログ」を取得したうえで、分析し、業務プロセスを可視化することで、業務改善に活用する手法です。
たとえば、業務アプリケーションにおける「申請」「受理」「承認」などのイベント発生に伴う「ログ」をプロセスマイニングツールを用いて取得することで、対象となる業務の処理パターンを可視化します。対象業務における手戻りやボトルネックなどの課題が抽出でき、業務改善すべきポイントが明らかになります。
ログを分析するのは効果がありそうですね。
パソコンで行う作業が増えたことで、自動的に分析するということですね。
中小企業とプロセスマップ
中小企業では、人員も予算も少ない中で事業を行います。しかし、意外と小さい割にはプロセスがはっきりとしないで属人化していることもあります。業務の停滞もあきらめがちです。小さなプロセスでもしっかり把握して改善することで、相対的に大きな効果が生まれます。
属人化しているところがキーポイントですね。
改善点が明らかになるといいですね。
笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。プロセスを明らかにする過程では、全員の話し合いが必要です。お互いに確認しあうことで、相互の理解も生まれ、協力しあう雰囲気も生まれます。プロセスマップの作成を話し合いの機会ととらえ、他のプロセスとの連携も強化できます。
社内の連結点に焦点をあてて改善するから、社内の連携も深まりますね。
社内連携の強化という角度から見ると、とても大切な作業ですね。
まとめ
プロセスマップとは、ビジネスの流れをプロセスとして見える化して、他のプロセスとの関係を明らかにし、ボトルネックを発見し、改善するツール(フレームワーク)です。プロセスマップは「見える化・ボトルネックの把握、改善・共通認識化・組織改善」の目的と効果があります。他プロセスとの影響しあうボトルネックを意識したフローチャートを作成したあと、全員の話し合いで改善策を決めて実行します。属人化作業や、停滞作業そのものの改善と、社内の連結点に焦点をあてた流れの改善ができるため、会社全体の効率もあがり連携も深まります。
今日も難しい課題でしたが、「プロセスマップの導入研修」「プロセスマップによる業務改善のサポート」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。
これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。
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(了)