行政書士霜田眞法務事務所 笑顔経営塾 第53回:リスキリングをしよう~DXの学び直し

第53回:リスキリングをしよう~DXの学び直し



目次

概要

第53回は「リスキリングをしよう~DXの学び直し」です。

塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。

第53回は「リスキリングをしよう~DXの学び直し」です。

「リスキリング」って急にはやりだした感じがします。

そうそう。最初は「リス」「キリング」?それとも「リスキ」「リング」?って悩みました。

そういう意味では、「リ」「スキリング」ですね。

なるほど、「リ」は「re」つまり「再」とか「繰り返し」の意味ですね。「スキリング」は「スキル」(技術)ですね。

そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?

リスキリングとは

「リスキリング(Reskilling)」とは、本来は「学びなおし」の意味ですが、「職業能力」の再開発、再教育のことを意味します。2020年のダボス会議で「リスキリング革命」が発表されたことから広がりました。リスキリング革命とは、「2030年までに10億人をリスキルする」という世界規模の目標です。「世界中の人々が今より高い水準の教育やスキル・仕事などを習得する機会につなげられるように目指すこと」を目的としています。2022年10月には日本でも、岸田総理大臣が「5年間で1兆円をリスキリングの支援に投じる」と発言して注目を浴びました。経産省では、令和4年度補正予算「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を公募しました。また厚労省では、「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を発表しています。近年では、特にDX(デジタルトランスフォーメーション)に必要となる業務・職種に順応できるように、従業員がスキルや知識を再習得するという意味で使われることが増えています。

普通に「企業研修」といっちゃいけないんですねえ。人類の課題みたいで話が大きいです。

今はなんでもDXだから、言い方も従来の「企業研修」にはおさまらない研修が必要だといってるのかもしれませんね。その言葉の裏に国の戦略が見え隠れするのはいいとしても、それに乗じて研修に関する業者があおってるようにも見えますね。

何を学べばいいの?

何を学べはいいのかは、企業研修ですから、その企業や受講する従業員ごとに異なることになります。
東京都の「DX人材リスキング支援事業」では、最初にDXスキル診断を受け、コンサルタントの面談、その結果を基にラーニングパスが与えられ、それに沿って学びます。
また、独立行政法人情報処理推進機構 IPAは「DX推進に向けた企業とIT人材の実態調査」の中で、
1.プロダクトマネジャー
2.ビジネスデザイナー
3.テックリード(エンジニアリングマネジャー、アーキテクト)
4.データサイエンティスト
5.先端技術エンジニア
6.UI/UXデザイナー
7.エンジニア/プログラマ
の7職種を挙げ、これらに必要な専門技術を学ぶことを推奨しています。
DX人材に必要な技術というくくりでいうと以下のようになります。
1.プログラミング等のITスキル
ほとんどの業界においてIT技術が活用されています。その根底にはプログラミングがあります。ある程度その理解があると応用もききます。例えば「ローコード」や「ノーコード」という技術の理解も早くなると思います。これらの利用ツールに関する知識があれば、導入も可能になります。
2.マーケティングスキル
SNSやインターネットの普及によって、気軽に情報を発信できるようになりました。マーケティング知識と、それを操るデジタルスキルがあることは企業の利益に直結するようになりました。特にこれらのSNS・WEBデータに注目したマーケティングの知識・技能はリスキリングの対象としては非常に必要です。
3.データ分析
IT革命で、企業がそれぞれで独自にデータを取得する事ができるようになりました。取得したデータから企業にとっての生産性の向上につなげるには、データを確認して、実際の業務との照らし合わせを行い、適切な分析結果を導く能力が必要です。
4.コミュニケーション分野
SNSの普及によって、PRの場は大きく広がりました。PRでどのようなメッセージをどの媒体で届けるのかを適切に判断できる能力が求められています。モノや情報があふれ、生活者の価値観やライフスタイルが多様化した現代では一律な情報発信だけでターゲットに訴求することは困難です。企業はデータを活用して顧客一人ひとりに即したコミュニケーションを設計することが求められています。
5.ビジネス応用力
DXでビジネスのあり方を大きく変えることが求められています。業務フローやビジネルモデルを見直すことも必要です。単にIT知識があるだけでなく、ITを活用したビジネスの設計力、課題解決力なども必要なスキルとなります。

ITがIOTになって急速に変化したうえに、DXのためだから、対象の範囲がビジネスにまで広がっていて、これに社員の頭の中が追いつかなければならないんですね。

リスキリングでDX活用ができるかできないかで業績に差がつきそうですね。

おすすめの資格は?                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

ITに関する資格は以下のようなものがあります。
まずは情報処理推進機構 IPAが提供している試験です。
1.ITパスポート試験(社会人向け国家試験)
情報処理に必要な知識や技能を問う国家試験のなかでもっとも取りやすい「レベル1」の入門資格となっているのがITパスポート試験です。社会人として身に付けておきたいビジネス基礎知識も学べるため、社内研修で取得させる会社も増えています。
2.情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメントの計画・運用・評価・改善を通して組織の情報セキュリティ確保に貢献し、脅威から継続的に組織を守るための基本的なスキルを認定する試験です。
3.情報処理技術者向け試験
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、ITストラテジスト試験、システムアーキテクト試験、プロジェクトマネージャ試験、ネットワークスペシャリスト試験、データベーススペシャリスト試験、エンベデッドシステムスペシャリスト試験、ITサービスマネージャ試験、システム監査技術者試験。情報処理安全確保支援士試験

それ以外に民間のDX資格もあります。ビジネスを意識したものもあります。
1.DX検定(日本イノベーション融合学会)
2.デジタルトランスフォーメーション検定(一般財団法人 全日本情報学習振興協会)
 DX推進アドバイザーとDXオフィサー
3.+DX認定資格(IoT検定制度委員会)

国が推奨してるだけあって資格も充実してますねえ。

塾長も受けるんですよね。

リスキリングを導入している企業                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

リスキリングを導入している企業も数多く紹介されています。ほとんどが、従来から社内研修を充実させていた大企業で、ヤフー、富士通、日立などが代表的です。
都の紹介サイトでは、中小企業として、備蓄可能商品販売業とコネクタの製造販売業の取り組みを紹介しています。

大企業がやると研修メニューも豊富でしょうね。

DXという視点でみると、経営戦略に結びつく研修になるんですね。

リスキリングのサービス

民間の各社が競ってサービスを提供しています。
東京都では、「DX人材リスキング支援事業」を提供しています。
「無料」で中小企業の課題を解決する4つのコースがあります。
1.業務効率化コース
2.データを活用した営業力向上コース
3.集客・売上向上コース
4.経営戦略コース

東京都は充実してますね。

研修がユーチューブなどの動画でできる時代ですからね。

中小企業とリスキリング

中小企業こそリスキリングの成否が差になりそうですね。限られた費用、人材の中で新しいスキルを積極的に導入することで、全く新しいビジネス戦略で可能となるかもしれません。東京都の支援事業もありますし、補助金もありますね。令和5年度DXリスキリング助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)
神奈川県にも支援するサイトがあります。
単なる研修ではなく、中小企業の生き残りをかけた経営戦略の見直しのための研修だと考えると、是非検討してほしいですね。

費用対効果も考えちゃいますね。

研修にお金をかけるとしても新しい分野には勇気がいりますね。

笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。リスキリングは、会社の将来にとって大事な戦略でもありますが、個人のキャリアや成長にとっても有意義なものです。無理矢理やらせるのではなく、納得したうえで取り組むと、企業にも個人にも大きな成果につながります。DX診断などで現状を把握したうえで取り組むと効果的です。ITやDXの流れは確実に来ていて、消費者の側にもその影響が出ていますから、競争に勝ち抜くためにもリスキリングに取り組むことが大切です。

時代の波に乗るのも必要ですね。

研修を受けたあと転職されると困りますけど、逆に研修がないから転職することもありますしね。

まとめ

「リスキリング」とは、ダボス会議で「リスキリング革命」が発表されて以来広まり、近年では、特にDX(デジタルトランスフォーメーション)に必要となるスキルや知識を習得する意味で使われています。内容としては、「プログラミング等のITスキル」「マーケティングスキル」「データ分析」「コミュニケーション分野」「ビジネス応用力」があげられます。提供サービスも各種用意されています。単なる研修ではなく、中小企業の生き残りをかけたDX戦略に欠かせない研修になりますので、DX診断などの現状把握とともに、計画的に導入することを是非検討してほしいですね。

今日も難しい課題でしたが、「DX診断とリスキリングの計画作成」「リスキリング研修導入支援」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。

これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。

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(了)