行政書士霜田眞法務事務所 笑顔経営塾 第76回:見えないコストを削減しよう~企業体質強化のために

第76回:見えないコストを削減しよう~企業体質強化のために



目次

概要

第76回は「見えないコストを削減しよう~企業体質強化のために」です。

塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。

第76回は「見えないコストを削減しよう~企業体質強化のために」です。

見えないコストがあるんですね。

見えないということはわかりずらい可能性がありますね。

赤字に悩む中小企業の社長さんは多いと思います。そこで、売上の向上とともに、コスト削減に手をつけようとします。ただ、それがなかなか効果が出ないケースが多いのです。どんどん見える部分のコストを削減していて、もうやり尽くしたと思っておられる社長さんは悩みが大きいのです。

たしかに、コスト削減は一筋縄ではいかないようですね。

そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?

見えないコストとは

「見えるコスト」とは、モノやサービスに対して支払うお金となり、材料費や人件費、事務所経費などがあげられます。一方、「見えないコスト」とは、間接的なものであり、それにかかわる「作業量」と「時間」が相当します。
「今は気づいていない余分なコスト」というほうがわかりやすいかもしれません。
物品の購入でいえば、「見えるコスト」の中で、直接経費は物品の購入価格であり、その購入にかかる人件費や経費は間接経費となります。間接経費は、発注業務、仕分け・分配業務、購買管理業務、在庫コストなどがあります。これらは数字としてみえている限りは「見えるコスト」ともいえます。しかしこれらの間接作業は、適切な「作業量」と「時間」ではないと考えると、その余分な部分に「見えないコスト」がかかっていると考えることができるのです。
また、例えば、「見えるコスト」である在庫を減らしたところ、発注増による人件費増や特急料金が増加するなどの例では、これらがその時点では予想できかった「見えないコスト」となります。

わかりやすくいうと、効率化すれば削減できるコスト=「今は見えていないコスト」があるから「見える」ようにしましょうということでしょうか。

作業のやりかたや時間のかけかたに焦点をあてるわけですね。

見えないコストの種類                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

見えないコストを種類に分けて事例で考えてみます。
1.プロセスやしくみが原因で常に発生するコスト
 ムダなプロセス、承認作業、確認作業
 過剰品質
 待ち時間の多いプロセス
 場内移動距離の長い作業、効率の悪い移動
 長距離の輸送
 顧客要望による頻繁な納入
 過剰な教育で仕事ができず残業が増
 効果の出ない採用広告
 各部門間の連携不足によるムダなコスト
 紙管理によるファイリングなどのコスト
 規則が多いための届け出などのコスト
2.突発的に発生するコスト
 計画がよくないために発生する計画変更作業
 顧客との打ち合わせ不足による追加設計作業
 トラブル処理
 故障修理

例をあげてもらうと少しイメージが湧いてきました。けっこう多いですね。

気づきにくいとはいえ、ある程度類型化できそうですね。

プロセスの種類

時間や作業量のムダを考えるときには、プロセスに分けて考えることができます。
1.製造のプロセス
 「流れ作業」ライン生産方式や「一人作業」セル生産方式があります。
 製造しているものに適していない生産方式であるとムダが生まれます。
 たとえば上流から下流に原材料の調達や作業開始のタイミングを通知するPUSH型生産システムと、逆のPULL型生産システムがあります。PULL型生産システムで有名なのは、トヨタ自動車ですが、顧客が希望する車を安定的につくるので向いているといえます。
2.調達のプロセス
 調達業務そのものが見えない状況が生まれやすくなります。属人化され、サプライヤーの固定化、調達コストの硬直化、分散調達による余剰などのムダの可能性があります。
 物流にかかる費用と時間も大きい要素です。調達頻度調整や一括納品などの工夫が欠かせません。
3.設計のプロセス
 新規設計にかかる時間のムダを省くための設計パターンの活用などが求められます。また、設計段階から、共通部品を活用するなど、製造段階を考慮した効率化が必要となります。機能のモジュール化なども検討が必要です。
4.営業のプロセス
 訪問営業ではアポのムダを省くためにアポ取り代行業というものがあります。インターネット時代の今でも、相手の年齢によっては効果がまだあるようです。
 ほかには、宣伝広告費のターゲットを絞らないとムダが生まれます。提案書作りでは、提案資料の共通化などの効率化が考えられます。
5.管理部門のプロセス
 経費精算や文房具調達、印刷・複写などのプロセスにムダが発生すると、合計では大きいムダになります。経理部門の集計作業では、システム化されていないと、入力・確認作業のムダが発生します。
6.全部門共通のムダ
 「会議」が代表的です。「上長の承認待ち」というものもあります。余分なスペースは賃料のムダになります。また、受注から生産、納品までの時間を短縮することで、在庫の増加を防ぎつつ収益を伸ばすリードタイム短縮も検討すべき観点です。

なかなか手強いですね。

ムダを排除しようとすると抵抗勢力もあるんでしょうね。

見えないコストの削減のしかた

見えないコストの削減方法は以下のようになります。
まずは、現状分析からはじめましょう。
1.しくみを変える
 生産方式の見直しなどは大きな効果が期待できます。現場の流れをよく分析しましょう。
2.プロセスを単純化・高速化する
 承認プロセスを省いたり、時間のかかっている部分を改善することがポイントになります。
3.仕事の総量を減らす
 仕事そのものをなくす検討をします。やめる仕事も検討します。
4.突発的なコスト増を発生させない工夫をする
 修理、トラブル、手直し、修正などの発生しない仕組みを検討します。

ポイントは絞って検討できそうですね。

削減するためのパターンはあるわけですね。

間接経費のコスト削減

間接経費は、見えないことが多く、コスト削減のポイントは以下のようになります。
1.ペーパーレス化
 コロナを契機に気づくことが増えましたが、紙にかかわる経費は意外と大きく、ペーパーレスを推進することが効果的です。
2.IT化、DX推進
 ペーパーレスとともに、クラウドなどを多用することで、承認時間、移送時間の短縮が図れます。
3.固定費の見直し
 賃料や会費などの固定経費に着目するとムダが浮かび上がります。

代表的なコストダウンの手法ですね。

基本的なことをやりきることが大事ですね。

企業体質の強化のために

見えないコストを削減して企業体質を強化するためのポイントは以下のようになります。
1.見えないコストを削減する文化にして継続する
 企業の中で行われるさまざまな施策を考えるときに、目に見えないコストも常に意識することを習慣とすれば、経営体質は強化されます。一時的なケチケチ運動ではなく、継続的な取り組みとすることが必要です。
2.強い意志をもって取り組む
 習慣的になっている現状を見直す場合には、抵抗があります。強い意志をもって取り組む必要があります。
3.大きな目標を見失わない
 コスト削減をした結果として、企業の競争力が落ちてしまったら意味がありません。
4.全体最適を意識する
 部門間の連携で対立やムダが発生します。最後は全体最適になるかどうかを判断基準をすることを徹底します。

なるほど、結局は経営のためだということを忘れてはいけんんですね。

ケチケチ運動で、会社全体が暗い雰囲気になるのはよくないですからね。

中小企業と見えないコスト

大企業と比較して、中小企業は、ヒト・モノ・カネ・情報のともに少ない経営資源で運営します。だからこそコスト削減は重要な課題です。独自経営で他社と比較することが少ないため、以外と見えないコストがかかっていることが多く見受けられます。中小企業庁のミラサポでは「事例から学ぶ!「コスト削減」」を紹介しています。中小企業の弱点を補い、コスト削減につなげるために、他社と連携して調達プロセスを一本化する「共同調達」という方法も紹介されています。

コロナでDX推進ですから、コスト見直しの絶好の機会かもしれませんね。

トータルでコスト削減にならないといけませんね。

笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。見えないコスト削減は、会社のしくみや今までの習慣にメスを入れることもあるかもしれません。しかし、その目的をはっきりとさせ、会社のためになる施策であることを説明して取り組めば理解も協力も得られます。現場のムダな作業を減らすことは社員にとっても大歓迎です。企業体質強化のために、前向きに取り組むことが効果的です。

社員の参加も欠かせませんね。

現場を分析するなかで、社員の協力が必要になりますからね。

まとめ

「見えないコスト」とは、見えにくいコストであり、業務を行ううえでのムダな「作業量」と「時間」が相当します。多い会議、承認プロセス、手直し、過剰品質、余剰在庫などが代表的です。各プロセスの仕組みから発生するムダは、現状を分析して改善します。突発的に発生するムダは発生させない工夫をします。DX推進やリモートワークも効果的です。生産、調達、営業、管理等の全分野で「強い意志で、全体最適の目標を見失わないで継続し」、企業体質を強化しましょう。

今日も難しい課題でしたが、「見えないコスト削減のための現状分析」「コスト削減案の提示」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。

これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。

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(了)