概要
第79回は「孫子に学ぼう~柔軟で効果的な経営戦略のために」です。
塾長、学ぶ、笑みの3人の会話が展開する形でお伝えします。
塾長:笑顔経営塾の主宰者。「あなたの笑顔がみたい」がモットー。
笑み:塾長にいろいろな相談ごとを持ってくる。
学ぶ:塾長の補佐をしているが、勉強中。
第79回は「孫子に学ぼう~柔軟で効果的な経営戦略のために」です。
孔子は論語で、孫子は兵法ですよね。
中国の古典ですね。
経営に関する本はたくさんありますが、その中でも孫子は兵法ではありますが、戦略論として経営戦略に大きな影響があるといわれています。
戦争論と経営論は共通点がありそうですね。
そこのところもう少し詳しくお話していただけますか?
「孫子」とは
中国春秋時代の武将で孫武、その子孫で戦国時代に孫臏という人がいました。孫武と孫臏は、共に『孫子』と呼ばれる兵法書を著したと伝えられています。現在は『孫子』は孫武のもので、孫臏のものは『孫臏兵法』と呼ばれています。
春秋戦国時代は日本では縄文から弥生時代ですから驚きですね。
戦争がさかんな時期に戦争に関する書物を書いたというのも驚きですね。
しかも現代まで残っているわけですから、名著なんでしょうね。
孫子が必要とされる理由
孫子が現代でも必要とされる理由は以下の点が挙げられます。
1.内容が実践に即しているため汎用性が高い
戦争を行うにあたっての、戦術から心構えまで網羅されているが、その教えの内容が実際の戦いの中から生まれた教訓であるため、正しいし汎用性が高い。
2.相手を分析して柔軟に対応するため、経営に通じるものがある
戦いであるため常に相手をよくみて臨機応変に対応するのが基本。そのため経営にも通じるものがあります。
3.近代の経営戦略論に大きな影響を与えている
曹操や武田信玄はもちろん、ナポレオンも孫子の影響があるといわれています。その後の戦争論にも共通の考え方が見られ、これらは経営戦略論の基礎になっています。現代では、イラク戦争、フォークランド紛争、湾岸戦争の指揮官にも影響を与えています。経営戦略では、ビルゲイツと孫正義が影響を受けた人として有名です。
日本の縄文時代の中国のものが、今でも汎用性があるというのが驚きですね。
相当な数の実戦から抽出された教えなんでしょうね。
孫子の教えの基本
孫子の教えの基本は以下のようになります。
1.敵を知ること
2.主導権をとること
3.相手の弱いところを攻めること
4.正攻法と奇襲を組み合わせること
5.守るときは静かに、攻めるときは一気に
6.兵力に応じて戦うこと
7.敵に応じて変化すること
詳しくは守屋洋著「孫子の兵法」をご覧ください。
ずいぶんと柔軟な感じをうけますね。
相手をよくみて戦うから柔軟なんですね。
孫子の代表的な教え
孫子の代表的ば教えは以下のようになります。
1.兵は詭道なり
だましあいが基本ということです。現代のスポーツにも共通しますね。
2.百戦百勝は善の善なるものにあらず
戦わないで降伏させるのが最善です。
3.上兵は謀を伐つ
上兵(最高の戦い方)は、謀を伐つ(相手の戦略を逆にとって勝つ)次は交を伐つ(外交戦で勝つ)、次は兵を伐つ(軍で勝つ)下は城を攻む(城攻め)。城攻めはしてはいけない一番下の戦略です。
3.彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず
己を知って敵を知らなければ五分五分です。
4.戦いは奇をもって勝つ
正と奇を使い分けています。奇襲を重要視していることが特徴ですね。
5.人を致して人に致されず
主導権を握り、相手を不自由にして当方が自由になることです。
6.守らざるところを攻める
ナポレオンは弱い敵ばかり攻めるので連戦連勝したといわれています。
7.事は間(かん)より密はなし
スパイ活動を重視しました。スパイは最高の人物で最高の待遇が必要です。しかもその活動は極秘にします。ベッパンみたいですね。今でも情報収集は必要ですね。
奇襲を重要視したり、弱いところを攻めたり、スパイを重視したり、ずいぶんと実戦的ですね。
弱いものの戦い方もわかっていらっしゃるようですね。
孫子を現代に活かすために
孫子を現代に活かす方法は以下のようになります。
1.君主と将の関係を社長と部長に置き換える
孫子は君主の口出しを咎めています。ある程度の指示ののちは、任せることが必要になります。
2.情勢分析を競合分析、市場分析に置き換える
孫子は情勢分析を重要視しています。競合分析や市場分析で自分たちにとって有利な戦い方を探る必要があります。
3.地形に応じた戦い方を地域市場攻略に置き換える
孫子は、平地や高地などの地形に応じた戦い方を示しています。地域市場攻略においても現代に生かせる要素があります。
4.数に応じた戦い方を競合攻略に置き換える
孫子は軍勢の相手との比較によっても戦い方を示しています。敵の10倍なら包囲する、5倍なら攻撃する、2倍なら敵を分断する、互角なら勇戦する、数が少なければ退却する、勝算がなければ戦わないと。これらは、自社より大規模な競合とのムダな戦いをしないように示唆していますね。包囲や分断は、地域出店戦略で参考になりますね。
5.軍の指揮方法を組織論に置き換える
孫子は軍律を重視するだけでなく、集団力学を重視します。現代においては、個人の能力開発と指揮命令系統だけでなく、チーム力の向上をめざすことが示唆されています。
きめ細かい戦略・戦術ですね。
君主と将の関係は、今でいうエンパワーメントですから、先見の明もありますね。
中小企業と孫子
大企業と比較して、中小企業は、少ない人数で運営します。孫子でいうところの君主と将の関係がリアルに当てはまります。また、市場や競合とのポジショニングの中で、自社より大きな競合との戦い方も必要です。孫子はそういう意味でも、大きな経営のヒントになると思われます。
時代が違いますし、戦争と違って命もかけませんけど、いろいろと参考になりそうですね。
あくまでもヒントにするのがいいですね。
笑顔経営塾では、楽しい雰囲気の会社は業績も向上すると考えています。孫子は、兵法なのであまりそういう観点はありません。将帥や敵兵に関する教えは、深い心理的な洞察をもとにしています。自社内に置き換えることで、社内の人心に配慮することができます。孫子は社員も納得する合理的な戦略を示唆してくれると思います。
百戦錬磨ですから、人心も把握してますよね。
孫子は心理的に深いですから、参考になると思います。
まとめ
孫子は、中国春秋時代の孫武の兵法書です。汎用性が高く、柔軟なため、ナポレオンやビルゲイツなど学ぶ人も多い書です。基本は「敵を知る、欺く、主導権をとる、弱いところを攻める、正攻法と奇襲をする、兵力や敵に応じて変化する」などです。組織論、ポジショニング、競合との戦略など、示唆する点が豊富です。孫子に学び、柔軟で効果的な経営戦略をつくりましょう。
今日も難しい課題でしたが、「孫子に学ぶ社員研修」「孫子に学ぶ経営戦略づくり」などでお手伝いさせていただくのが、笑顔の経営には一番大事かもしれませんね。
これから取り上げる内容も含めて、皆さんからご意見ご要望をいただければありがたいですね。次回も楽しみにしています。
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(了)